2018年度 目路はるか教室

2Gコース

No Risk No Return!海外留学を経て
グローバル金融の世界へ飛び込む

昭和56(1981)年卒業ティー・ロウ・プライス・ジャパン株式会社 専務取締役

土居 邦彰 氏(どい くにあき)

 この度は貴重な機会を頂戴し、誠にありがとうございました。今回私が最もお伝えしたかったメッセージは「リスクをとらなければ、リターンは得られない」ということです。これは今後何を学ぶか、どんな職業に就くか等、皆さんの人生の岐路全てに関わってくる原理原則です。

 第1部では、私の米国留学および外資系金融機関での経験をお話しました。

 お伝えしたポイントは以下になります。

①練習は不可能を可能にす

 小泉信三先生の仰ったこのお言葉は慶應義塾體育會のスポーツに対する姿勢を示す象徴的な言葉ですが、勉強にも全く同じことが言えます。大学を卒業した際に受けたTOEICで中学生レベルの点しか取れなかった私が最終的に米国大学院に進学できたのも毎日継続して英語力、特に単語力を磨いたからに他なりません。

②目標なくして成長なし

 留学にあたり全米数千の経営大学院の「上位20校のどこかに必ず合格する」という目標を定めました。これは当時の私の英語力からすると無謀極まりないものでしたが、最終的には無事合格することができました。簡単に達成できる目標では意味がありません。一見無謀だと思う目標を掲げ、それに向けてのロードマップを考えてこそ大きな成長があると確信します。

③英語は手段

 英語は目的ではなく、ただのコミュニケーション手段です。人間「やらされている」と思ったらやる気も起きないものです。英語を話せれば公私共に人生が広がります。

④日本人としてのアイデンティティをしっかりと持つ

 海外に出て驚いたのは他国の人は自国の歴史をしっかり学んだうえで自らの意見を主張するということでした。それは時として偏った意見であることもありましたが、彼らと丁々発止議論をするためには、日本人としての歴史観やアイデンティティをしっかり持つことが重要です。

 第2部では、学校では教えないであろう投資の基本をお話ししました。お伝えしたポイントは以下になります。

①投資、投機、ギャンブルの違い

 残念ながら大人でも上記3つの違いが分かっていない人が多いと思います。ギャンブルは統計上長期では絶対に負けるマイナスサム、投機はゼロサム、投資は企業活動による時価総額の上昇を伴いプラスサムになり得ます。投資=ギャンブルではないのです。

②リスクの理解

 投資の世界でリスクとは価格のぶれ幅を意味します。また、リスクとリターンは表裏一体です。高いリターンを欲すれば価格が大きくぶれることを容認しなければいけません。リスクリターンの関係を理解していれば高金利をうたった金融詐欺被害は未然に防げるのです。

③バブル

 投資の世界では、必ず周期的にバブルが起きます。バブルに踊らされないためにはその投資対象の本源的価値を認識し、他の人と同じ事をしない勇気が必要です。

④人生100年時代に投資で成功するためのポイント

 投資において重要なのは資産分散、時間分散、そして何より長期投資です。人生100年とするのであれば普通部生にはまだこれから80年以上の人生があります。この80年という時間は投資において、もの凄い効果を発揮します。

⑤毎月積み立てのメリット

 長期投資で使って欲しい投資手法が無理の無い金額による毎月の定時定額投資です。この手法には、①少額投資なので価格が下がってもさほど気にならない、②購入時に暴落していたら高い時に比べて多く購入することが可能、③そして何より長期で投資することができるといった様々なメリットがあります。この投資手法を長期にわたり行うことで、無理なく金融資産を増やすことが可能と考えます。

 以上、私の講義が参加頂いた普通部生に多少でも響いたならばこれ程の喜びはありません。最後に、担当窓口の林和慶先生、引率の鈴木淑博先生、私を推薦頂いた目路はるか世話役の山口隆弘君、そしてなにより私の講義に参加してくれた16名に感謝の意を表したいと思います。どうもありがとうございました。

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