2021年度 目路はるか教室

2Jコース

「ニッポンのものづくり ~ある筆記具メーカーの場合~」

1994(平成6)年卒業三菱鉛筆株式会社 代表取締役社長

数原 滋彦 氏(すはら しげひこ)

 この度は第24回目路はるか教室に登壇をさせていただく機会を頂きありがとうございました。当日は24名の普通部生が私の普通部一年生の担任であった今井英喜先生の引率で、弊社本社オフィスにご来社頂き教室を開催させていただきました。開催にあたっては当社で勤務している2002年卒業(平成14年)の横田昌樹君とともに準備をしました。

 冒頭には自己紹介として小学校から大学まで慶應義塾の教育を受けたこと、普通部では今井先生が最初の担任で、部活動では野球部に入っていたこと、そして祖父母の影響で高校から始めたゴルフで大学は体育会ゴルフ部で主将まで務めさせていただいたことをお話させていただきました。運動音痴でしたので小学校や中学校から私のことを知る友人達は「まさか数原が大学で体育会に入るなんて、そして主将までやることになるなんて」と思っていたはずです。いまでもこのゴルフというスポーツとの出会いが現在の私を形成する大事なきっかけになっていることに違いなく、様々なチャンスをくれた慶應義塾の教育に大いに感謝をしています。

 次に会社の紹介として、会社概要から事業の概要説明それに続いて実際に社員が勤務をするオフィス・ショールームの見学をしてもらいました。自分が普通部生だった時のことを考えてみると、仕事をするオフィスなど全くイメージしてなかったと思います。今回参加した普通部生の皆さんに対して、私たちの仕事を理解できるほど丁寧に説明できたかは不安なところもありますが、将来社会へでていく時に頭の片隅に記憶として残っていて、なにかの参考になればと思っています。

 会社概要説明の中では、当社の事業ポートフォリオなどをお話させていただきましたが、「当社の主力商品はボールペンであること」「国内海外の売上比率がおよそ半分半分であること」「研究開発投資に売上の約5%を投資していること」などの点について当日の反応や感想文を拝見するとみなさん驚いているように感じました。会社概要説明の後に、いま当社が大事にしている商品開発として「機能的価値」だけではなく「情緒的価値」を向上させることを意識していることについてお話をさせていただきました。昨今の日本の筆記具は「機能的価値」が非常に高く差別化が難しくなっている状況があり、それに対して「情緒的価値」(デザイン・ストーリー・ブランドなど)を高めることが大事と考えていることをお話させていただきました。

 後半のパートでは、実際にものづくりを体験してもらうためのワークショップとして「筆記具の組立て」と「コトPOPの制作」を横田昌樹君が準備をしてもらいました。「筆記具の組立て」のパートでは、ゼロから製品を作る技術開発だけでなく、製品を効率的に製造するための生産技術という仕事があり大学でどのような専攻をした人が仕事についているかなどをお話させていただきました。「コトPOPの制作」のパートでは、自ら組立てした筆記具の良さについて宣伝するPOPを制作することで、マーケティングという仕事についてイメージしてもらいたく企画をしました。「筆記具の組立て」のパートが長引いてしまいましたので、「コトPOP制作」の時間が少なくなってしまいましたが、それぞれのワークショップの中で将来の仕事について少しでもイメージすることが出来たら良かったと思います。

 末筆になりますが、お声掛けをしてくださった世話人を務められている神谷宗之介さん、ご準備から記録のまとめまでサポートいただいた普通部の先生の皆様には、厚く御礼を申し上げるとともに、参加してくれた普通部生の皆さんの今後のご活躍を祈念しております。

前の講師を見る


2021年度トップに戻る


次の講師を見る