2021年度 目路はるか教室

1Bコース

目路はるかを終えて

1979(昭和54)年卒業品川エトワール女子高等学校・エトワール幼稚園・白鵬女子高等学校 各校理事長

嵯峨 実允 氏(さが さねのぶ)

 この度は卒業生として普通部生に講演するという貴重な機会を頂きありがとうございました。

 講演では私の慶應義塾時代、社会人時代、親の仕事を継いだこと、新しい仕事にチャレンジして現在に至るまでの流れをお話ししました。その後、私立学校と公立学校の違い、学校法人の仕組み、学校と会社の違い、男子校、男女共学と女子校の違いなど、私立学校の独自性や慶應義塾の私学における重要性についてお話しさせていただきました。(また、学校内見学を通して女子高校の雰囲気も体験していただきました)

 私学を経営するということは日本の未来を背負う子どもたちを育てるという大切な使命であり、単にお金を稼ぐということとは違います。一方で教職員の生活の安定、人材の確保、施設の充実、国際教育、ICTへ投資など継続的に多額の資金が必要なことも事実です。そのためには生徒数の確保は最大の課題であり、収入と支出バランスをとりながら(この点は会社の社長と同じ)生徒の為に何をすればよいかを日々考えています。現実にはこれから急速な少子化が到来し、私立学校経営も大変な時代を迎えることになります。その時、各学校の建学の精神と同時性こそが生き残るために最も重要な事だと思います。他の学校と同じことをしていてはダメだと考えています。

 かつては良い大学を出ていれば安定した職業に就けましたが、これからの時代は変化が大きく、個人の価値観も変わってきています。良い教育を受けて沢山の知識を得ることはいつの時代でも成功するための重要な要素ですが、それだけではチャンスを掴むことはできないと思います。積極的にいろいろなことにチャレンジしてほしい。失敗も貴重な経験です。そこからどう立ち直るかかが大事です。皆さんにお伝えしたいことはこれからの人

生で壁にぶつかった時は自分で考え、自分で決めて前に進んでくださいということです。例え上手くいかなくても人のせいにしない、くよくよしている暇があるなら自分の能力を最大限に発揮して乗り越えていって欲しいと願っています。

 この機会に自分の経歴を振り返りながら過去に起きたこと、苦労したこと、辛かったこと、喜びを得たこと、未来に向けての構想を考えることができたことは私自身にとりましても大変有意義な時間でありました。私もいろいろな体験をしてきましたがその全てが現在にたどり着くために必要な時間だったと思います。

 普通部の皆さんはこれから普通部、高校、大学と慶應義塾という素晴らしい教育環境の中で過ごしていきますが、その恵まれた環境に甘んずることなくやりたいことや夢に向かって努力を重ねていっていただきたい。

 皆さんに何か伝えることができたなら大変うれしく思います。

 

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