2019年度 目路はるか教室

3Gコース

「開拓者を目指せ」〜アジア最大の資産運用会社を創る&新しいスポーツ・ラクロスを普及する〜

みずほFG アセットマネジメントOne 株式会社 執行役員 / 同オルタナティブインベストメンツ株式会社 代表取締役社長 / 一般社団法人日本ラクロス協会理事長

佐々木 裕介 氏(ささき ゆうすけ)

 普通部会誌の編集委員時代に、「一貫教育を考える〜英米型教育環境で我々はいったい何を目指すべきかという〜」というテーマに取組んだことがありました。目路はるか教室の皆さんと対峙した瞬間、その30年前の記憶がフラッシュバックし、自分の人生を棚卸しする貴重な機会に恵まれたと実感しています。こうした機会を頂き、関係者の方々に本当に感謝しております。

 「資産運用」と「ラクロス」は、金融・スポーツの分野でも、私がその歩みを始めた段階ではいずれも「傍流」・「ゼロ」で、本当に社会に根付くとは思っていませんでした。「なぜその人生の選択をしたのか」と質問を頂きましたが、それは、若いなりに考え、挑戦し、人とは違う何かを開拓したかったということに尽きます。うまくいかないことや、途中で諦めたこと等枚挙にいとまがないですが、これだと思ったらそれをしっかり掴み、情熱を持ち続けて最低10年継続するぞという気概が全ての出発点だと思います。「幸運の女神には前髪しかない(レオナルド・ダビンチ)」という格言がありますが、開拓者の基本姿勢そのものだと感じています。そして、読むべき哲学・歴史の古典300冊(ウェーバーのプロ倫、マキャベリの君主論、漱石のそれから等)を読破し、多様な価値観を持つ熱い人達と沢山会って、自分なりの独自の教養や理念を創り上げていくことが人生の礎になります。一貫教育にはそのチャンスが無数にありますので、楽しみながら、皆さんが登る人生の山をイメージし続けてみてください。

 「海外のファンドマネージャーが高いプライドを持って取り組むアセットマネジメントは、日本ではマイナーだから面白いかもしれない。」−資産運用業は、国富が蓄積された成熟資本主義国家で勃興する長期のビジネスで、英国で300年前、米国で150年前に始まりました。日本ではまだ30年の歴史しかありません。そして、命と家族の次に大切な財産をお預かりして資産を増やし、全ての人が100年人生を安心して過ごすことをサポートするという「大義」を持っています。私は、2016年にグループ会社を4社統合して、アセットマネジメントOneという新しい運用会社を創る仕事に恵まれました。運用とお客様をつなぐプライベートバンカー業は、国内ではいまだ未成熟で、私は、次の開拓分野はここだと確信しています。

 「怪我で大学体育会サッカーは諦めざるをえない、ならば、新しいスポーツにかけてみよう」と、大学1年次に創部した10人のラクロス部の最初のユニホームは、「KEIO」ではなく「JAPAN」にしたと申し上げました。ラクロス選手は自分達だけだから、僕達は日本代表チームだ、という遊び心とワクワクするような感覚は、今でも鮮明に覚えています。ピンチがチャンスに変わり、突然、未開拓のフィールドに遭遇した訳で、人生は本当にわかりません。スポーツビジネスも新時代に入り、地上最速のスポーツ・ラクロスは5Gのテクノロジーを通じ、大きく飛躍する可能性を秘めています。

 「敵と戦う」のがマネジメントの仕事、「敵のいない場所を探す」のがリーダーの仕事と定義しましたが、開拓者はより後者に近く、アートや科学の世界の異端も含まれてくるでしょう。もちろん大企業の中にも、新規事業分野はたくさん隠れています。私には、たまたま登る山が二つあって、それぞれの専門性を自分なりに継続して高めてきましたが、その先には、共通するリーダーという職責があると考えるようになりました。また、今の自分があるのは、両親、家族、周囲の皆さんのおかげだと常に感謝するようになりました。

 ぜひ、自分なりのビジョンを自由に模索し、一方でラストマンとして、修羅場に飛び込む覚悟を固め、楽しく自分の人生を歩んでもらいたいと思います。目路はるか教室での出会いは、私にとって一つの運命であって、これからも、日吉や三田で、成長していく皆さんともっと議論していきたいと考えています。そして、普通部の皆さんから、「好奇心」と「初心」というエネルギーをもらい続けたいと思っていますので、今後ともどうぞ宜しくお願いします。

 

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