2019年度 目路はるか教室

1Aコース

人生100年時代の生涯スポーツ

昭和51(1976)年卒業本田技研工業 株式会社

太刀川 善一郎 氏(たちかわ ぜんいちろう)

 学生時代は自分がどのスポーツを選ぶべきか迷い、始めてからも成績に悩み、このまま続けるべきか不安に思うものです。スポーツが好きなのに継続する自信がなくて部活に入ることをためらってしまう人もいるでしょう。又、部活でスポーツを楽しんでいても、自分はプロスポーツ選手になる訳ではないから、何年かしたらどうせ辞めるだろう。社会人になったら続けることできないだろうと思いながらスポーツをしている学生も多いようです。しかし、長い人生ではスポーツをする機会は無限にあります。普通部にある運動部も、数多くのスポーツのごく一部です。たまたま、その一つを選んで始めた結果、レギュラーになれなくても、試合で勝てなくても、自分がスポーツに向いていないと思う必要は全くありません。学生時代だけでなく、生涯に渡ってスポーツを楽しむと考えれば、中学生時代の成績など、マラソンの最初の1kmに等しいのです。

 今、平均寿命の伸びるにつれて、その生涯を通じて、だれもが、いつでも、どこでも、気軽に参加出来る「生涯スポーツ」を楽しめる社会の重要性が認識されています。

 講義では、普段の授業よりかなり長い3時間の枠を頂きましたので、前半は、スライドや動画を中心に、ホッケー、ヨット、スカッシュの3部構成の座学を行い、後半はせっかくの機会なので、体育館でスカッシュ、グラウンドでホッケーの実技を行いました。

 最初に、私が高校大学を通じて打ち込んだホッケー部時代について、お話しましたが、皆さんからの質問を受けると、私が普通部入学時は決して身体能力に秀でていなかったのに、運動部を大学まで続け、社会人になってからも別のスポーツにチャレンジ出来た事に興味が高かったので、スポーツの為の体作りについてお話をしました。人間は激しい運動をすると、それが刺激となって成長ホルモンが分泌され、蛋白質等の合成が促進されて筋肉や骨の成長に繋がります。ホルモンの分泌は運動の直後と睡眠時に2回の山が来るので、運動後の食事と十分な睡眠が必要な理由となります。しかし、せっかくトレーニングをしても食事が今まで通りでは、なかなか体は変わってくれません。練習、食事、睡眠の3つの中では食事を最も重視する。部活の日は食事の質も回数も変えるというアドバイスは普通部生には意外だったようです。

 しかし、どんな講義をしても体験に勝るものは無いようで、感想文を読むと最後のスカッシュとホッケーの実技が新鮮な体験だったようです。後日、ホッケー教室に参加したり、スカッシュが出来るジムを探して行ってくれたりと、行動を起こしてくれた生徒がいたのは大きな喜びでした。

 2020東京オリンピックの後、11月に同じホッケー会場で年齢別に競うマスターズ世界大会が行われます。私は、今年60才になりますが、そのおかげで60才以上の日本代表ホッケーチームで出場するという目標を得て、選考強化合宿に繰り返し参加しています。そして、2021年は「生涯スポーツ」の最高峰である「ワールドマスターズゲームズ」が日本にやって来ますので、ホッケーと共に5年前に始めたスカッシュでもエントリーすることを楽しみにしています。

 皆さんにも、それぞれの人生のステージでスポーツを楽しんで頂きたいと思います。

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