2018年度 目路はるか教室

2Jコース

「目路はるか教室」を終えて、改めて普通部生に伝えたいこと

昭和62(1987)年卒業日本テレビ放送網 株式会社

柳井 雅 氏(やない ただし)

 過日は、「目路はるか教室」の講師という貴重な機会を頂きありがとうございました。後輩にあたる普通部の皆さんが、2時間半も話を聞いてくださったこと、光栄に思います。私はダメな普通部生でしたが、この講師を務めさせて頂いたことで、ようやく普通部を卒業できたかな?と思っています。

 お伝えしたテーマは「目路はるか」に沿って、「先」つまりは自分の将来を見てほしいということでした。私自身、幼稚舎で個性を磨いたものの、勉強らしいことをした記憶は余りなく(笑)。一方、普通部では、いわゆる「勉強」を教えて頂きましたが、果たして、社会生活を営む上で役に立ったかというと今もって結論は出ていません。ただ、実体験の中で今更ながら学ぶことの意義を見つけつつあり、そして、私自身、普通部でこんな話を聞いたら、もっと勉強したかな?という授業のイメージを考え、お伝えさせて頂いたつもりです。以下エッセンスを記します。

 一番目にお伝えしたのは、私を含めた普通部同級生のその後の人生でした。多少挫折しても、長い人生ではたいしたことではないので、挫折した時に、道を踏み外さないでほしいと思っています。私自身がなんとか道を踏み外さなかったのは、山内慶太先生、大久保忠宗先生などと同じ福澤研究会に在籍し、その謦咳に接し、「塾の精神」に触れていたからでしたが、聴講した皆さんにも、折に触れて「塾の精神」を思い出してほしく、「慶應義塾の目的」をもご紹介しました。

 二番目は、学ぶことの意味です。私は主に失敗から、学ぶことの大切さを学びましたが、聴講して下さった皆さんが、自分の将来をイメージでし、国語、理科、算数、社会、美術etcについて学ぶことの意味を早く見つけてほしいと願っています。

国語(同音異義語)の問題として「校閲BOY」をお出ししました。

多少難しかったようですが、この問題を解くコツは、

 人手(働き手) と 人出(人の数)、

 内臓(人体の臓器) と 内蔵(蔵に入っている物=中にある物)

というように熟語の持つ意味の違いを考えると、解きやすくなると思います。

 三番目は、現代は既存メディア以外の、個人メディアなどから発信された情報が大量にあり、多数の情報の中から真実、事実を見つけることが難しくなっているというお話をさせて頂き、この過程で、放送禁止とされている映像もいくつかご紹介しました。今後、ますます虚偽含めて多様な情報が氾濫すると思いますが、

 ①発信元を見極め、

 ②重要な情報には対価が必要

 ③時には自分の目で確かめる

といった視点を持って、風説に惑わされないようにしてほしいと願っています。

 講演終了して間もなく、早速、聴講した普通部生の皆さんの感想を頂きました。皆さん、丁寧に書いて頂き、ありがとうございます。拝見していて、多少なりとも意図が伝わったかな?という感想を頂き嬉しく思っています。ロクでもない先輩の人生経験だったと思いますが、現役の皆さんにとって何か一つでも得るものがあったのなら幸いです。

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