2017年度 目路はるか教室

1Cコース

空を見よう 昭和・平成の芸能界サバイバル術

昭和52(1977)年卒業俳優・気象予報士

石原 良純 氏(いしはら よしずみ)

 僕は、俳優、気象予報士として活動していますが、テレビ局の社員でも気象庁の職員でもありません。講義する適当な場所が見つからず、普通部の教室での授業とさせて頂きました。

 〝目路はるか教室〟は、課外授業。普段と同じ教室での授業となったことは、生徒の皆さんにはちょっともの足りない思いをさせたかもしれません。

 折角、教室での授業となったので、僕の講義は50分×3時限とさせてもらいました。

 1時間目は、〝生きる知識〟。僕が生きる不思議な世界と思われながらも、その実、案外と世間以上にまともであったりもする芸能界。そこでの体験をもとに、何かこれからの生徒の未来に役立つヒントを与えられればと考えました。

 芸能界を生き残るには、2つの事を守れば大丈夫。これは30数年前、映画デビューが決まった僕が、叔父、石原裕次郎から教わった教訓です。

 1つ目は、〝時間を守れ〟。そして、〝挨拶をしろ〟。30数年前の僕も、この言葉を聞いた時、なんと平凡なつまらない教えなのかと思いました。しかし、その後この2つのことがどれだけ重要かということが分かってきました。

 そんなシンプルな言葉から始まって、幾つかの言葉を生徒に投げ掛けました。どの言葉に生徒は興味を持ってくれたのかは分かりません。ただ皆が、熱心に聞いてくれていたのは間違いありません。

 2時間目は、発声。実社会に出ると、大きな声を出す機会が減ってくる。これは大人なら誰しも思い当たることでしょう。ならば、若いウチから大きな声を出すことを心掛ける。その為には、正しい発声法を知っておくことは有益なのです。

 ア、エ、イ、ウ、エ、オ、ア、オ。一つひとつの口の型を意識して、腹の底から声を出す。机をどけて車座になり、一汗掻くつもりで皆に声を出してもらいました。最後は、僕が用意した実際のテレビ番組の台本を各自に朗読してもらう。声を出す楽しさを知ってもらえれば幸いです。

 3時間目は、〝空を見よう〟。僕のライフワークでもある地球環境問題を取り上げました。日々のニュースの中で、気象に関するものが多くなっていると誰もが感じているのではないでしょうか。多発する異常気象の要因と考えられているのが、地球規模の気候変動。この気候変動をもたらすのが地球温暖化です。

 青空なんて、あって当たり前。残念ながらそんな当たり前が崩れつつあるようです。

 時に青空を眺めてみる。日本の空は実に美しい。空は海よりも広く、山よりも高い最も身近な大自然なのです。空を見上げれば、身の廻りの嫌なことをひと時、忘れることだって出来るのです。

 一日に一度、空を見よう。そんな言葉で僕の講義を終えました。

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