2017年度 目路はるか教室

1Bコース

富士ゼロックスの広告コミュニケーションと未来のオフィス環境

昭和52(1977)年卒業富士ゼロックス 株式会社

中島 康光 氏(なかじま やすみつ)

 授業当日は、横浜のみなとみらい地区にある富士ゼロックスR&Dスクエア内の「お客様共創ラボラトリー」にて、私から慶應義塾での経験と富士ゼロックスの概要について、続いて研究技術開発部門から未来のオフィス環境を実現する最新のテクノロジーについて紹介させていただきました。

 まず、慶應義塾での経験については、その一貫教育の中で「独立自尊」の精神は勿論のこと、「社中の協力」について学んだことを、そして富士ゼロックスの概要について広告コミュニケーションという切り口から、当社が1962年の創業以来、一貫してオフィスにおけるコミュニケーション環境の革新を通じて、今や大きな社会課題でもある「働き方改革」を実現することによって、お客様の価値創造をお手伝いしていること、日本で初めての複写機の発売から、その後のカラー化、デジタル化、ネットワーク化、近年ではクラウドサービスの活用など、その進化を、その時々のテレビCMなどの紹介を交えながらお話させていただきました。そして、普通部の大先輩でもあり、弊社元会長の故 小林陽太郎氏が大切にされた言葉である「素心深考」―素直な心で、しっかり考える。「とにかく考える前に早く行動しろ」と言ったことが尊ばれる現代だからこそ、あえて時間をかけて思慮することを大切にしたい。そのためには、心のありようが素直であることが不可欠である―を紹介させていただきました。続いて、研究技術開発部門より、「よりよいコミュニケーションを通じた人間相互のよりよい理解の促進」という富士ゼロックスの哲学とその実現に向けた研究活動の概要について説明。特に国内外における働き方のトレンドとお客様における課題の紹介と、それを解決する富士ゼロックスにおける研究の取り組み事例を紹介させていただきました。

 そして、実際の研究開発の現場において、「言行一致」という富士ゼロックスユニークな考え方に基づく、自らの働き方の課題を自らの技術で解決していく事例を紹介。特に将来の働き方とその支援環境についてデモンストレーションを通して体験していただきました。

 具体的には、1.手書き文字認識技術:企業の中に多く存在する紙を介したコミュニケーション課題解決 2.スマート会議室:人の動きに応じた機器制御、会議で行われる特徴的な事象の自動記録と活用 3.スマートサイネージ:人の認識に基づく情報提供とジェスチャーによる情報活用 4.スマートデスク:AIが支援する個人のワーク環境 5.将来オフィス:ロボットと一緒に働く世界とは、について紹介をさせていただきました。

 最後に、質疑応答の時間を設け、事前にお預かりしていた質問も含め回答させていただき、授業を終了とさせていただきました。

 今回の「目路はるか教室」では、その準備段階から、富士ゼロックスという普通部1年生にとっては馴染みのない会社を、その上、まだまだ遠い世界であろうオフィスにおける働き方について、どのように紹介すれば、興味を持っていただけるかを考え、悩みました。そのことは、私自身にとっても、これまでの経験をしっかりと整理するという点において、大変貴重な機会となりました。その後、生徒の皆さんからの感想文を拝見し、少しでもお役に立てたことを知り、安心した次第です。10年後、皆さんが社会に出るころには、AIやIOTと言った技術はますます進化し、人々の働き方は大きく変わることでしょう。今回ご紹介した技術をはるかに超えて進化することも想定出来ます。しかし、どんなに技術が進化しても、人間の価値が下がるということはありません。ご紹介した「素心深考」という言葉のように、人間として大切にしなければならないことが沢山あります。そのためには、勉強やスポーツなど、いろいろなことを通じて多くを学ぶことを怠ってはいけません。是非、慶應義塾の一貫教育を通じて、自らを磨き、自己実現を目指してください。先輩のひとりとして、皆さんの成長を楽しみにしています。
以上

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