2017年度 目路はるか教室

3Fコース

少子高齢化社会の進展の中で新たな日本を創造していく仕事

昭和56(1981)年卒業国土交通省 住宅局総務課長

松本 貴久 氏(まつもと たかひさ)

1)はじめに

 目路はるか教室において、講義をする機会をいただいたこと、そして、私の講義を選んでいただいた皆さんと各般の準備をしていただいた普通部教職員の方々、目路はるか教室の世話人の方々に対して、まず、御礼申し上げます。

2)講義の構成

 国土交通省では中学生・高校生向けの省内見学会のプログラムを受け付けており、今回の目路はるか教室は、このプログラムと一体的に実施させていただきました。講義の構成としては、13時から14時半までの前半90分について、広報課主催により、①国土交通省の概要説明、②防災センターオペレーションルームの見学、③少子高齢化社会に向けたまちづくり(コンパクトシティ)の講義を実施しました。また、後半の90分は当方において、私の歩んだ道のりと、少子高齢化の進展の中、空き家を活用した高齢者や低所得者向けの賃貸住宅制度の法律案の作成の仕事について、講義いたしました。

3)21世紀の日本で活躍する皆さんに

 我が国の人口は、20世紀に5千万人から1億3千万人へと急増したのに対して、21世紀には1億3千万人から5千万人へと8千万人の人口減少が予測されています。このような大きな人口変動は世界的にも例がなく、我が国でも初めてのことです。当然、その影響は社会経済全体に大きく及びますので、保育所の待機児童解消策や教育無償化の充実など、こどもを産み育てやすい社会への施策に取り組んでいるところです。しかし、現状においては、まだ少子高齢化、人口減少に歯止めはかかっておらず、社会経済全体として、人口減少対応の改革も進めなければ、国際競争力の低下、効率性の低下などいろいろな歪みがでてきます。このため、都市政策や住宅政策では、都市のコンパクト化や空き家対策などの取組みをはじめたところであり、今回の講義のテーマに選ばせていただきました。皆さんが活躍する21世紀の日本では、人口減少がベースとなり、人口増加時代に日本社会が蓄積した経験や方策では解決できないさまざまな課題に遭遇することでしょう。先導者として、新たな時代を切り拓く気概を培う必要があります。

4)終わりに

 「年収はどのくらいですか?」という質問もありました。皆さんが職業を選択していく上での重要な視点です。国家公務員という職業は、収入面での魅力は大きくないのではないかと思いますが、直接的に社会貢献でき、若い頃から社会全体へのインパクトが大きい仕事ができる点で、やりがいが非常に大きく満足しております。皆さんが、将来、職業選択される際には、自分自身の能力、適性と人生観を見極めて、最善の決断をされることを期待しています。天賦の才能、家庭環境、教育環境など、皆さんはとても恵まれています。一方で、我が国にも他の国々にも困難な状況にある方々が多数おられることに目を向けることも忘れないでください。これからの一貫教育の中で、能力識見をさらに高めるとともに、困難な状況にある方々の改善に貢献していく正義感や暖かい気持ちも養っていただけるといいですね。Cool Heads but Warm Heartsを目指してください!

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