2024年度 目路はるか教室

1Gコース

祝福される先導者になろう

日本テレビホールディングス株式会社 グループ戦略局/元日本テレビスポーツ実況アナウンサー

田邊 研一郎 氏 (タナベ ケンイチロウ)

 卒業して32年ぶりに母校に私の思いを伝える機会をいただき、 心から感謝しています。普通部の歌でよく歌った「いざよく学び、いざよく遊び」の歌詞が象徴するように、私の普通部時代は充実した3年間でした。理科レポートで論理的思考を学び、サッカー部では放課後を待ち遠しく思いながら、グラウンドで仲間とボールを蹴り合う日々を過ごしました。
 この経験が高校でのJリーグ下部組織でのプレーや、大学で体育会ソッカー部の主将として三色旗の下で戦う原動力となりました。
 卒業後は日本テレビでアナウンサーとして24年間、野球やサッ カーを中心に500試合以上の実況に携わりました。普通部時代に 培った労作教育の精神が、中継資料の準備や実況に役立ちました。
 現在はグループ戦略局でグループ会社の経営マネジメントに従事し、将来的には企業経営や学校教育の現場で、取得した小学校教員免許を生かし未来を担う子どもたちの力になりたいと考えています。
 今年の春に「目路はるか教室」の講師依頼を受け、11月の授業当日まで準備を進めてきました。その時間はまさに半学半教、自分自身にとっても貴重な学びの場となりました。
 授業は3部構成で行い、第1部では生放送中のスタジオや報道スタジオを見学、第2部では弊社が開発した情報リテラシー教材「あやしい情報に出会ったらどうしたらいい?」を用いて「確かな情報を集めること」と「不確かな情報を広めないこと」の重要性を伝えました。第3部では「祝福される先導者になろう」をテーマに話をしました。
 「周りが応援したくなる人とはどんな人だろう?」という問いを通じて応援される人を考えてもらい、慶應義塾の「全社会の先導者たらんことを欲する」や「独立自尊」の精神を振り返りました。また、福澤諭吉先生の「失敗は人生修行の手引き」という言葉を引用し、失敗や批判を受け止められる素直さが「独立自尊の木」を支える土台となることを説明しました。一方で、自尊心だけでできた木は根が浅く、批判の風で倒れる危うさも伝えました。
 また、「僕はリーダータイプではない」と事前アンケートに書いてくれた生徒に寄り添い、自分自身も普通部時代はリーダーではなかったことを伝えました。自分の強みを知り、目標に向かって努力を続けることで自然と人を引っ張る存在になれると話しました。
最後には生徒一人ひとりに、授業を通じてどんな自分になりたいかをノートに書いてもらい、彼らがペンを走らせる姿を見ながら、祝福される先導者になるべく、目路はるかな道を歩んでほしいと心から願い、胸が熱くなりました。
前向きに取り組んでくれた普通 部生の皆さん、会議室の椅子を整え、礼儀正しく場を後にする姿は、秋の高い空のように清々しく感じられました。
 今回、目路はるか教室の講師という貴重な機会をいただけたことを心から光栄に思います。
 この場をお借りして、先生方や世話人の皆様に改めて感謝申し上げます。

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