2024年度 目路はるか教室
1Hコース
人生を切り拓く自分だけのカギを見つけよう!
日本フィルハーモニー交響楽団 理事長室長/東京藝術大学 非常勤講師
別府 一樹 氏 (ベップ カズキ)

普通部生にとって、今すぐにわからなくても、自分の人生にとって価値のある、糧となるものの存在、即ち「人生のカギ」を探し始め、そこに手をかけて登り始めることが大切ではないか。私は今回、自分のこれまでの人生をヒントに、普通部生と一緒にこのテーマについて考えることにしました。構成は「オーケストラを並べてみよう!(ワークショップ)」「音楽が自分の人生を拓くカギになった(レクチャー)」「自分の人生のカギを探してみよう(個人作業と発表)」としました。嬉しい驚きは、生徒たちの自己紹介文でした。文章や文字そのものから普通部生の自由でエネルギッシュな個性や感性を感じ取り、準備に一層気合が入りました。
ワークショップでは、事前知識ゼロの普通部生に、簡単な見取り図を渡して自由にイスと譜面台を並べてもらいました。そこから「演奏できるスペース」「合奏しやすい距離」「音の響きの特性」といったいくつかのヒントを基に試行錯誤を重ね、結果として美しいオーケストラセットが完成しました。
レクチャーパートでは、知識の提供よりも「自分の人生がどのように音楽によって導かれていったか」を解説し、「人生のカギ」が、熱意や好奇心の原動力になるばかりでなく、迷ったり悩んだりしたときには「命綱」にもなり得ることを話しました。
そしてカギを探すための個人ワークとして「読んでいる本」「家族や友達と話すこと」「寝る前 に考えること」「一番時間を使うこと」「部活で夢中なこと」について書き出してもらい、一人一人と対話しました。半数以上の生徒は自分のカギを既に意識しており、見つからない生徒たちも、これから考え続ける決意を語ってくれました。授業後に届いた感想文で、一人一人が授業の後も自分の人生のカギについて考え続ける中で、自分なりのカギを見つけたという生徒がいたことは、今回の最大の成果と感じています。