2022年度 目路はるか教室

2022年度 目路はるか教室
2年全体講話

「2022 年7月4日―7月21 日 Los Angeles, CA., Birmingham, AL., そしてDenver, CO」ー 日吉から世界へ

1962(昭和37年)年卒業世界空手連盟理事 事務総長

奈藏 稔久 氏(なぐら としひさ)

 普通部生諸君、「世界に羽ばたこう」。今日の講演で諸君に伝えたいメッセージはこの一点につきます。今日は世界空手連盟(WKF)理事、事務総長職という私の体験談を通して諸君それぞれが「世界に羽ばたく」ことについて感じ、考えてください。
 空手、“Karate”は日本発祥の武道ですが今や全世界で愛好者1億人以上というUniversal Sportに発展しました。昨年Tokyo2020で表舞台に初登場したことは多くの諸君が知っていますね。
 ところが空手発祥国である日本人がここ30年以上WKF会長、事務総長という基幹職に誰一人携わってこなかったのです。基幹職に日本人を欠いて日本発祥の身体文化を世界に定着させ、真のレベル向上を図ることは困難です。日本人として大きな使命感を感じています。
 一方でWKFの規則には理事の立場が以下のように規定されています。「理事は所属各国の利益代表者ではない」。Tokyo2020大会において「開催国枠」(日本人選手優先枠)決定に至る過程で国益優先かWKFのあるべき姿を優先すべきか、の困難事例に直面しました。結果は80名中8名(1割)で決着。今日圧倒的多数の普通部生が「それは多過ぎる」(もっと少数が妥当)という冷静中立な判断を示したことに正直安堵しました。(専門家の目からは日本人枠はせいぜい4名が実力相当、妥当なところでした)
 本年7月アメリカ出張帰国途次、Denver空港でのPCR検査でコロナ陽性が判明。10日間のホテルでの自主隔離中、体調不良、不安、不便の極限状態を経験。さらに10日後の再検査でまたもや陽性判定を受け、帰国便搭乗まで極めて複雑、稀有な経験をしました。物事を達成するためには「冷静な状況判断、語学力そして闘志と胆力」が求められること、まず獣身を成して後人心を養うことの大切さを痛感しました。
 「日吉から世界へ」このメッセージを決して忘れないでください。

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