2022年度 目路はるか教室

2Iコース

「ベンチプレス100㎏を挙げられる80 歳になるために 〜人生を元気に過ごすコツをつかむ〜」

医療法人社団medX 理事長

宮原 光興 氏 (ミヤハラ ミツオキ)

 2022年11月12日、東京警察病院において目路はるか教室を行った。
 集合場所の正面玄関付近に立ち並ぶ新型コロナウイルス感染症診療用設備の見学から始まり、コロナ禍の病院での授業を象徴するような目路はるか教室のスタートとなった。
 今回は人生100年時代における「元気」「健康」をテーマに、いかに人生を楽しみ切るか、そしてその手助けをしている高齢者医療についてお話しした。
 「まず獣身を成して而して後に人心を養う」という福澤先生のお言葉のとおり、学生時代にスポーツを通じて体も心も鍛えられた体験をベンチプレスも交えながら普通部生にお伝えした。
 「元気」は身体的健康、精神的安定、健全な社会参加から成り立っている。身体的健康にばかり目が行きがちであるが、障害をもちながら社会で活躍している人が増えている昨今、年齢を重ねても「元気」に社会参加できることを、ALSを患いながらブラックホールの研究を進めた物理学者ホーキング博士や、東京パラリンピックで活躍した選手などを題材にお話しし、高齢でも「元気」でいるためにはどうすればいいかを各々に考えてもらった。
 高齢者医療は病院医療と日常生活を支える在宅医療の2輪で回っている。
 病院医療について2チームに分かれ、内視鏡室、手術室、リハビリ室、エコー室などを見学した。内視鏡室では実際に胃カメラを操作し、手術室では実際の手術を見学する機会に恵まれた。
 次に在宅医療について。高齢者の身体的健康は、体を動かす前に、しっかり食べることから始まる。
 単なる栄養補給ではなくコミュニケーションツールとしての役割も持つ食事は、生活を支える在宅医療では重要なテーマである。「食べて出す」ことをサポートする題材として、私が開発に携わっている在宅でも使用しやすい「スマホ」エコー、iPadに接続できる嚥下内視鏡などを実際に操作してもらった。
 身体機能が衰える中で、どのような工夫があるかを紹介。嚥下しやすいレトルト食の試食、飲みなれている飲料に嚥下補助のトロミをつけるとどう変化するか、内服補助ゼリーなどを用いて様々な大きさのラムネを飲み込む実験など、普通部生は和気あいあいと体験学習の時間を楽しんでいる様子だった。
 自分たちの元気を社会でどう活用するかも大事である。周りには少しの手助けで元気でいられる方々が多くいる。慶應義塾から社会に羽ばたいていく普通部生たちに「周りに手を差し伸べられる強者になれ」という言葉を送り、最後にドクターヘリが利用する屋上ヘリポートで記念撮影をして終了とした。
 より高齢化が進む時代で活躍する後輩たちに伝えたいことが山ほどあり、盛りだくさんの内容となった。
 「ベンチプレス」というキャッチーな題名にしたため、スポーツ好きの普通部生が予想していた内容ではなかったかもしれないが、人生100年時代をいかに楽しみきるか、それを支える高齢者医療について興味をもってもらえたら幸甚である。
 後輩たちと共に、改めて自分の歩んできた道と、これから歩むべき道について考える機会を頂いたこと、母校が繋ぐご縁に感謝申し上げます。

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