2022年度 目路はるか教室
2Fコース
国の健康に貢献する仕事
世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局 ディレクター(Healthy Environments and Populations)
岡安 裕正 氏 (オカヤス ヒロマサ)

今回、目地はるか教室のお話を頂き、自分が普通部生のときに、将来社会のために貢献したいという気持ちはあるものの、何をしたら良いのかわからず漠然とした不安を抱えていたことを思い出しました。そこで、私の今の国際保健の仕事の他に、自分の興味のあることを一生懸命やることの大切さを伝えられたらと思いました。
まず、国際保健の分野は医師の仕事としては臨床や研究に比べ一般的ではないので、WHOの仕事を説明し、各国の疾病構造が感染症から非感染症に移る中で、健康分野以外(例えば、福祉、教育、経済、都市計画)と協力しながら、人々が健康に暮らせるための環境を作ることが重要になっていることを説明しました。
また、仕事の一端を体験してもらうために、グループを3つに分けて、アジア太平洋地域における慢性疾患について何をすべきか。というグループディスカッションをしてもらいました。アイディアの中には、ITの活用や、農業・食品セクターとの協力、貧困対策とのリンクなど、大胆で創造的なものがあり、普通部生のポテンシャルの高さを感じました。
最後に、医師、経営コンサルタント、国際公務員と仕事を変えてきた自分の経験から、未来に生きる普通部生に3つのメッセージを伝えました。
● 関心のあることをやってみる(受験がないことは自分の関心のあることに取り組む良い機会)
● 自分の分野の最先端を知る(インターネットを使えば、「巨人の肩の上に乗る」ことは比較的容易)
● 仮説思考を身につける(多くの情報の中から、未知の問題の解決策を見つけるために有用)
長い話であったのにも関わらず、皆一生懸命聞いてくれて、質問も多く出され、私も原点を振り返る良い機会になりました。
また、30年以上ぶりに訪問した普通部の校舎は新しくなりましたが、その中で生徒の個性を尊重し暖かく見守る先生方の姿は変わらないと感じました。その恵まれた環境で過ごした後輩たちが将来様々な分野で活躍することを心から願っています。