2022年度 目路はるか教室

1Dコース

iPS 細胞を使って神経難病の治療法を開発する 〜患者を診ない研究医の実践〜

順天堂大学大学院医学研究科 ゲノム・再生医療学教授

赤松 和土 氏 (アカマツ ワド)

 このたびは目路はるか教室の講師の機会を頂きありがとうございました。今回の教室では、なるべく現物を見てもらうのが生徒たちの良い経験になると思い、順天堂大学にてiPS 細胞やそこから分化した神経細胞・オルガノイド、それらの解析を見てもらいました。さらに当研究室の医学部学生が行って論文発表したiPS細胞を用いたパーキンソン病の治療候補薬の同定を例として、実際の基礎医学研究がどのように行われるかを講義し解説しました。中学1年生の皆さんには講義は少し難しかったかもしれませんが、皆さん熱心に聴いてくれていましたので、おそらく一度は耳にしたことのあるパーキンソン病の研究に関して新しい知識が得られたのではないでしょうか。
 実は医学研究は、普通部で私を含む多くの生徒がガマさん(佐々木敏和先生)たちに苦しめられた(?)理科の実験と多くのことが共通します。私は普通部を卒業して10 年以上経って医学研究を始めて、普通部の理科講義・実験が極めてハイレベルかつ研究マインドの育成のための素晴らしいトレーニングであったことに気づきました。特に研究者を目指す普通部生の皆さんには、普通部の理科に全力で打ち込んで欲しいと思います。労作展を頑張るのも良いですね。理科の実験が好きで医学研究に興味がある人は、是非医学部を将来の進路の候補として考えてみてください。慶應義塾で初めてのノーベル賞を取るのは、そんな志を持った普通部出身者の誰かかも知れないと期待しています。一方で医学部は慶應だけでは無く順天堂を含めて日本に82 校あります。医師になりたいと思った皆さんは、普通部のうちから努力し備えて必ず自分の夢を実現させてください。82 校のどこに進学しても沢山の知識と経験(と資格)を得られるチャンスが待っています。今回の教室で医学への興味を深めて進路を決めた皆さんと再び医療の現場で会うことができたら大変嬉しく思います。

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