2021年度 目路はるか教室

3Iコース

弁護士 ときどき エンタメ企業役員の日常

1995(平成7)年卒業NEXAGE 法律事務所弁護士兼 KONNEKT INTERNATIONAL Inc. 取締役

秋本 壮 氏(あきもと そう)

 今回のお話をいただいた際、まず思ったのは「何を話そう」ということでした。

 私が弁護士になったのは2004年10月でしたので、早17年が経過しております。この間、大手事務所に所属した経験に加え、某証券会社における駐在、金融庁・証券取引等監視委員会への2年間の出向、フランスへの留学、独立開業、エンタメ企業の業務執行取締役への就任(弁護士として社外役員に就任することは一般的ですが、業務執行取締役への就任は少数派)といった様々な経験をしてきているのですが、それらの経験が今の自分にとってかけがえのない財産になっていると日々実感しております。

 他方で、私が普通部生だった当時を思い返してみたものの、思い浮かんだのは、ラグビー部での(エグい)練習や、友人との東横線内での悪ふざけの日々といった、真面目でもなく不良でもない『普通』の普通部生だった姿でした。当時の私は、将来について何も考えておらず、そもそも弁護士になろうとなど1ミリも思っていませんでしたし、身近に弁護士がいなかったこともあり、その業務内容や日々の生活については想像もできない状況でした。

 そこで、『普通(成績は平均くらい)』の普通部生だった私が、どのような経緯で弁護士を目指したのか、弁護士になるまで・なってからどのような生活スタイルとなっているのかを包み隠さず話すことが、弁護士を身近に感じてもらうことができ、また将来について考えるきっかけになるのではないかと思い、今回のタイトルに決定しました。

 なお、授業が180分と長丁場であったこともあり、3チーム対抗でのグループディスカッションを行うこととしました。当該グループディスカッションを通じて、各自の特性がどのようなところにあるのか(アイディアを出す人、チームの見解をまとめる人、反論をする人、誰かの意見をサポートする人等)を感じてもらった上で、私がこれまでに感じた経営者・弁護士・公務員といった職業別に共通する特性についても話をすることとしました。

 後日受領した普通部生からの自己紹介文や感想文を見たところ、大半の方が将来についてのビジョンをしっかり持っており、私の時代とは比較にならないほど、大人でしっかりしていると感じましたし、授業中の態度を見ても真面目な人が多かったことに驚愕しました。

 ただ、私としては、将来について、普通部生の時点で明確なビジョンがなくとも、何ら問題はないと思っています。むしろ、現時点ではさほど興味がないことや、やりたくなかったこと(学生時代の部活動や、若手弁護士時代に経験した先輩からの無茶ぶりにどのように対応するかといったものも含みます)であったとしても、後々には経験しておいてよかったと感じることも多いことから、先入観や他人の意見にとらわれず、視野を広く、色々なことに、積極的にチャレンジしてもらえればと思います。

 私は学生時代に、やらないで後悔した経験があり、その時の気持ちは今でも時々思い出すほどです。普通部生の皆さんには、是非とも「やらない後悔よりやって後悔」してほしいと思っています。

 失敗したって、慶應の仲間が助けてくれます(と私は信じてます笑)!

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