2021年度 目路はるか教室

3Hコース

「建設産業のデジタル化」

1993(平成5)年卒業野原ホールディングス株式会社 代表取締役 社長兼CEO

野原 弘輔 氏(のはら こうすけ)

 今年の普通部の目路はるか教室を担当させていただきました。ありがとうございました。

 数あるコースの中から私の話を聞くことを選んでくれた普通部生の皆さんには心から感謝をしています。

 当日は、最初に私たちが会社として取り組んでいる建設産業のデジタル化について、その背景や意味を説明しました。またワークを通じて、アナログな方法だと不便だったり非効率だったりする仕事を、うまくデジタルに置き換えられると凄く楽になることを体験してもらいました。

 私から3年生の皆さんにお伝えしたメッセージは以下の3点です。

① 人生最後まで勉強

 私の大学時代の恩師であり、元塾長の鳥居康彦先生からいただいた言葉です。普通部生の皆さんは、生涯で少なくとも2つ3つの異なる職業を経験するだろうといわれており、この言葉を頂戴した20余年前と比べても、生涯学習やリスキリングなどの意味合いは明らかに高まっています。是非、新しいことを学ぶことが意味のあること、楽しいことという感覚を早く持てるといいと思います。

 多くの皆さんと同じように私も普通部にいたときは勉強が大大大嫌いでした。

 ただ、その後、高校、大学と徐々に学ぶことの楽しさを実感できるようになり自分の世界を広げることができました。普通部の時からのたった唯一の好きな科目だった英語の勉強が今の自分に繋がっている気がしていて、皆さんも、そんな授業や科目との出会いがあればいいなと思います。

② 自分の持っているバイアスに気づこう

 私たちは、生きていく中で家族や友人、普段の生活から沢山のバイアス(思い込み)を刷り込まれています。それがいい方向に働くこともありますが、選択肢を狭めることにもつながります。

 特に、慶應義塾は素晴らしい環境にありますが、それだけに外の世界からずれてしまうことも多くあります。一人一人が自分(と周囲の人が)の持っているバイアスをしっかりと理解をすることが大切だと思います。

 慶應義塾には外国に行ける短期・長期の留学プログラムなどが沢山あり、私も多くに参加させていただきました。学校外、特に世界の他の学校を見ることができることはかけがえのない機会になります。是非、多くの普通部生が参加できるといいと思います。

③ 仲間を作ろう

 バイアスの話とも関係をするのですが、私たちは大人になっても、(もっと多くの人とかかわっているようで)実際には50人程度の小さな社会で生きるといわれています。特にその中で強く影響を受ける(与える)5人、15人といった近い友人のネットワークをどう作るかは強く意識をしていいことだと思います。

 普通部にいるうちは、この5人15人50人というのは殆どがクラスと部活の友達ばかりかもしれませんが、3年生は4月から高校生になります。全く異なる新しい環境で、自分のどんなネットワークを作るか、是非、楽しんで取り組んでもらえたらと思います。

 講義の最後に、普通部の中でデジタル化してほしいものを皆に考えて発表してもらいました。授業の配布物が紙で煩雑であったり、レポートや課題提出が紙である不便さ(グラフなども手で書く、推敲や書き直しがしにくい)を訴えるものが複数ありました。また健康管理システムや食堂の予約システムを作るという話も多く出ていました。

 先生方は、授業のプリントは紙で問題ない、生徒が文字を書くのも訓練と思われているのかもしれませんが、世の中は非常に速いスピードで変化をしています。既に、多くの企業では紙に文字を書くことは通常の仕事ではあり得ないことになっています(この傾向は戻ることがないと思います)。

 若い普通部生は常に時代の先端に照準を合わる必要があります。先生方もリーダシップを取って、普通部のデジタル化を大胆に進められてはと感じました。

 是非、未来につながる素晴らしい普通部を作っていっていただければと思います。

 いい機会を頂き、私も勉強になりました。ありがとうございました。

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