2021年度 目路はるか教室

2Bコース

「人間万事塞翁が馬」 目路はるか教室を終えて

1976(昭和51) 年卒業株式会社メディネット 取締役副社長

久布白 兼直 氏(くぶしろ かねなお)

 今回、講師のご依頼を頂戴しお引き受けしたものの、どのようなお話しをさせて頂いたらよいのか当初は本当に悩みました。コロナウイルス感染拡大の影響を受け、再生医療事業を行っております現在の会社の見学の実施等も難しいことから、3時間の講義をさせて頂くことにしました。あれこれ考えました結果、私自身のこれまでの人生を振り返り、経験したことや感じたこと、また多くの失敗や常に心がけていること、そして周囲の方々に支えられてきたこと等を率直にお話しさせて頂き、その中で生徒の皆さんに何か一つでも伝わるものがあればいいのではないかと考え、3部構成(第1部:普通部〜大学までのお話、第2部:仕事の内容や医薬品事業、合併による環境変化等に関するお話、第3部:中国での赴任生活やコロナウイルスに関するお話)の内容にさせて頂くことにしました。

 とはいえ、長時間に渡る講義の経験はありませんでしたので、上記の内容について原稿を作成することにしました。事前に頂戴した生徒の皆さんからの聴きたい内容を含む自紹介文も踏まえ、実際に何度も読み上げたりしながら推敲を重ね、最終的に50頁近くになりました。

 講義の主題にさせて頂きましたように、人生はまさしく何が起きるかわからない。良いことも悪いことも含予期できないいろいろなことに直面します。しかし私達は、思い通りにならないからといって、ゲームのようにリセットをしたり、当日お話しした医療用医薬品の臨床開発のように比較試験を行ったうえでよい方を選択するということも、あるいは過去に戻ってやり直すこともできません。

 一つだけはっきりしていることは、皆さんの人生は皆さんが「主役」だということです。ですので、講義の最後に3つのことをお話ししました。

① 困ったり悩んだりしたら、ご両親や先生、友人他いろいろな方に相談すればよいのですが、本当に大事なことについては、あとになって後悔しないよう他人任せにせず、最後は「自分自身でよく考えて決める」こと。 何か新しいことを始めようとしてもなかなか決心できない、そんな時も、ほんのちょっとの勇気を出せば大丈夫です。

② 目標を達成することは容易ではないかもしれませんが、「粘り強く諦めない」こと。自分さえ諦めなければ、目標に必ず一歩ずつ近づくことができます。

③ 「友人との絆を大切にする」こと。私達は独りで生きていくことはできません。友人の存在や周囲の人達のサポートがあって豊かな人生になります。

 講義当日は、生徒の皆さんの反応や所感はよくわかりませんでしたが、後日送って頂いた感想文を拝見しましたところ、率直な感想を寄せて頂き、当日熱心に聴講してくれたこと、また、私がお話した多岐に渡る内容について、皆さん一人ひとりがいろいろな観点で関心を持ってくれたこと等がよくわかり、大変うれしく、また、今回お引き受けしてよかったなと思った次第です。

 慶應義塾という素晴らしい環境の下、皆さん一人ひとりが輝かしい未来に向かってたくましく成長し飛躍していかれることを心から祈念しています。 有難うございました。

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