2021年度 目路はるか教室
1Hコース
挑戦することを忘れない
1994(平成6)年卒業理研電具製造株式会社 代表取締役社長
田代 剛大 氏(たしろ ごうだい)
「日吉駅から普通部ってこんなに近かったんだ」
当時、十代前半の私の足には長く遠く感じていたその距離ですが、歩いてあっという間に普通部に到着。目路はるか教室の当日、様変わりして綺麗な校舎に時の流れを感じながら、懐かしい気持ちで門をくぐりました。
大久保先生!今井先生!荒井先生!大森先生〜!と、大変お世話になった多くの先生方に再会しご挨拶するたびに、なんともいえない不思議な幸せな気持ちになりました。
「先生たち、年を取ったなー」なんて思いながら、そんな自分も43歳、あの頃の楽しい思い出がフラッシュバックするようでした。
尊敬する神谷宗之介先輩のお声がけで、目路はるか教室の一年生の授業を受け持つ機会を頂きました。
母校で後輩への授業だなんて、こんなに幸せなことはありません。
私自身は、塾高時代の一年間の米国留学はありましたが、幼稚舎から大学経済学部卒業まで慶應義塾で学び、2002年に新卒で三菱商事に入社し約10年間勤めた後に家業を継ぎ、電子部品の中小企業を経営して10年が経ちました。
優等生でもなかった自分が学生時代にどのようなことに悩み、失敗をしながらも立ち直ってきたか、自分のこれまでの人生をありのままに伝えながら、普通部や慶應義塾で学んできたことが、そして特に幼少期から続けた「テニス」というスポーツを通じて経験してきたことや身につけた考え方が、今の自分にどのように役立っているかをお話ししたいと思いました。
当日は3時間の授業で、2時間を教室での講義とし、残りの1時間は日吉駅反対側の大学キャンパスに移動し、高校、大学と長い時間を過ごした体育会庭球部のテニスコートや新築した部室を実際に見学して頂きました。
講義については、まずライフラインチャート(自分の満足度、充実度の人生グラフ)を用いて自己紹介をさせて頂き、その後は以下のプログラムで進めました。
・米国留学について、(多様性/世界の中の自分という小さな存在)
・テニスを通じて学んだこと(スポーツが与える3つの宝/個人戦と団体戦/怪我について)
・心の整え方(セルフイメージ/フロー理論/言葉の大切さなど)
・会社について(大手企業と中小企業/やりがい/大切にしていること)
今回の授業、「挑戦することを忘れない」というテーマを通じて皆様にお伝えしたかったことは大きく2つ、ひとつは月並みですが、どのようなことにも勇気をもって一歩踏み出して挑戦してほしいということです。失敗しても間違っても、そこから学び、改善し、つぎに活かせばそれでいいんだということ、挑戦することでしか人生は広がっていかないということです。
もうひとつは、これからの長い人生において悩み苦しむ時、そのような時こそ心のコンディションを整えて、過去や未来にとらわれずに“今”を生きてほしい、今できるベストを尽くせば結果をあとからついてくる、ということでした。
私の講義に参加して下さった普通部一年生24名の皆様、ありがとうございました。
授業後の感想文の内容も皆様ひとりひとり真剣な内容で、未来を拓く後輩たちを誇りに思いました。
まだまだ若輩者の私ですが、それでも今回の講義や体験を通じて皆様が何かを感じ取って頂けたのであれば、またこれから先の長い人生においての何かのヒントになったのであれば、これ以上の喜びはありません。
一卒業生として、皆様には自分の信じた道をまっすぐに進み、好きなことや得意なことをみつけて努力し、挑戦し、人や社会に少しでも役立つ人生がおくれるように羽ばたいて頂きたいと願っています。
そしてご担当頂きました大久保先生、ご引率頂きました那波先生、また目路はるか教室の運営を担うすべての先生方や世話人の皆様にあらためまして深く御礼申し上げます。このような貴重な機会を頂きましてありがとうございました。