2021年度 目路はるか教室

1Dコース

「産学連携―新しいお仕事の作り方」 授業を終えて

1983(昭和58)年卒業慶應義塾大学医学部 運動器生体工学研究寄付講座特任教授

名倉 武雄 氏(なぐら たけお)

準備・当日まで

 本年5月に「第24回目路はるか教室」講師のお話しをいただき、正直自分でよいのかと戸惑いつつもどのようなプログラムにするか1か月程度悩んだ。自分が整形外科医師であることから、医学的な話をするのもよいかと考えたがもうすこし広い授業にしたいと思い現在医学部で自分が取り組んでいる「産学連携」をテーマにすることに決めた。相手は普通部1年生とのことで、彼らにもわかりやすく「産学連携」について説明できるよういろいろ工夫することにした。まずは、知り合いのお子さんに普通部1年生がいたので彼らとZoomでどのような内容に興味があるかを確認した。こちらが提案した内容はまずまず興味をもってもらえたので、自分の想定した内容でプログラム作成を進めた。医学部で実際に産学連携をしているJKiC(JSR・慶應義塾大学医学化学イノベーションセンター)のメンバーにお願いし、4つのテーマを準備した。また担当の中嶋教諭と何度かミーティングしながらプログラムを完成させていった。COVID蔓延の影響で、信濃町での開催が不可となりメンバーが普通部に行って教室内で行うプログラムとした。中嶋教諭の計らいで、4つの教室を使わせていただけることになり大変有難かった。

講義当日

 できるだけ普通部生が手に取り体験できるプログラムとし、必要な機材・物品は前日または当日普通部に持ち込んだ。24名の普通部生を3グループにわけ、「手術のうまさを調べる」「背骨の曲がりを測ろう」「新しいインソール・靴を履いてみよう」「腸内細菌の話」の4テーマを順繰りに回るプログラムとした。それぞれのテーマに講師1−2名を置いて、4つの教室でプログラムを実施した。腸内細菌のみビデオとしたが、ほかの3つは普通部生が手を動かしたり靴を履いたりする体験をしてもらった。事前に中島教諭から「1年生はまだ幼いですよ」と聞いていたが、プログラムを体験している普通部生はどの子も非常に熱心にプログラムに参加し、また積極的に質問を浴びせてくるなど、自分としては想定外のレベルの高さであった。合計2時間30分のプログラムもあっという間に終了した。居眠りや退屈そうにする生徒はだれもおらず、まずは無事終了したことでほっとした。

講義を終えて

 本プログラムは将来「産学連携」を目指す人材が生まれてくれればという思いで内容をデザインし講義を行った。後日いただいた感想文を読むと、参加した生徒は何かしらを感じてくれてこの分野に非常に興味をもってくれていた。手術の機械をつかって縫合する練習をしたり、レントゲン写真を計測するなど中学1年生には高度すぎる内容ではないかと懸念したが、まったくそんなことはなく非常によい食いつきをしてくれて現在の普通部生のポテンシャルの高さに驚いた。(自分のころとは大違いである…)本講義を通じて自分なりに、新しいことを生み出すことの意義を伝えたつもりだがまずまず成功したようである。

 おわりになりますが、本プログラムを円滑に実施することをサポートいただいた中嶋雅巳教諭、そして忙しいなか普通部でのプログラムに参加いただいた山田敏之先生、JKiCのメンバー(濱田さん・堀川さん・光部さん・上田さん)、本当にありがとうございました!

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