2020年度 目路はるか教室

3Dコース

私が皆さんへお伝えできること

1983(昭和58)年卒業増田耳鼻咽喉科

増田 正純 氏(ますだ まさずみ)

 勉強とは実に孤独な作業と思う。

 人によっては勿論楽しい時間かもしれないが、少なくとも私にとっては決して楽しい時間ではなかった。一人部屋にこもり来る日も来る日も、自分の中で決めた課題というか、予定をひたすら実行するだけである。実行どころか、たいていはその日のノルマをやり切れず、がっかりしながら一日を終えるそんな日々が延々と続いた。

 今この年齢になって考えると、決して一流選手になるなどではなくともスポーツに打ち込む青春の方がもっとずっと華々しく、楽しかったのではないかと思う。周囲の応援やら何やらが目に見える形で存在するからだ。

 しかし、目路はるか教室に際しての皆さんの質問を見ると、勉強の道を進もうとする方も多い様なので応える形でこんな話をする事にした。

 勉強はまさに自分との闘いだと思う。自分の弱い心との闘いだと思う。人と比べていてはいけない。それでは一定以上伸びないのではないか。自分で考え自分で予定を立て、その結果どの程度の成績をとることができたのか、なぜそれしかできなかったのか、あるいはまた逆に今回はどこがそんなにうまく回った結果そのような高得点をとれたのか。

 そういった自己分析をしっかり積み重ねながら、自分と対話しながら、限界まで自分を引っ張ってゆく、それが勉強ではないかと思う。

 ちょと疲れたから5分テレビ見ようとか5分漫画でも読もうとか、それがもちろん10分になり、20分になり、結局30分、1時間、あーこれはまずいと思い、寝る予定がさらに遅くなり、そんな日が二日三日四日と続き、いよいよこれではだめだなと思い、今日は仕方ない、もうここでやめてとにかく少しは寝なきゃ…実際はこんな感じの日々が続いた。

 当時とは教科書やら参考書自体の形態は勿論それらが果たす役割事態も私の時代とは全く異なるであろうから、その辺りについてはアドバイスなどできないが、もちろん進むべき道は間違えてはいけないから、いろいろ迷ったらしっかり担当の先生方に質問すると良いと思う。参考書の類も遠慮せずどういうものが良いかなどお聞きすれば良い。その上で教室でも伝えたように可能であればもう2、3冊同じ単元につき読むなり勉強してみるのが良いと思う。そうすれば最も大切な事は何であるかが良くわかるのではないか(何らかの運動も勉強に並行して行う大切さは教室で述べた通り)。

 さらに医師になりたいという方が多い様に思ったので話すと、御自分の御両親が病院などを経営していらっしゃる場合には仕方ないが、そうではなければ是非とも将来開業などせず、大学病院やら総合病院などとにかく大きな施設で、自分達が勉強して来た事や身に着けた技術を存分に生かしながら、多くの患者様の手助けをしてあげて欲しいと思う。

 自分自身も院長を継ぐまでは全くと言っていい程親の苦労はわからなかったが、診療所を経営するという事は、人事やら労務やらを全てこなさなくてはならず、医学どころではない瞬間が多くある。

 そういう関係にご両親が就かれていたら是非とも話し合ってほしいと思うのだが、このところの従業員の就業規則の改変は経営者にとってはとても悩ましくまた難しいものだと思う。まして、医療を通じて人に仕える職場では、デスクワークと違い、なかなか時間でその日の仕事を終了できるかというと、どうだろうか(詳細は教室で好き勝手に話させて頂いたのであえて述べないが)?

 まして今年はコロナに始まりコロナに追われる一年となってしまったが、このような医療の大切さあるいはニーズが普段以上に注目される時に、この医療の場での就業形態の変更はどう機能するのだろうか。

 最後になりましたが、今回当院にいらした素晴らしい普通部生のご両親様におかれましては、あーこんなのがある事ない事しゃべっちゃったのか、こんなやつのところに息子はわざわざ行ったのかとお思いになったかもしれませんがどうかご容赦下さい。

 

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