2020年度 目路はるか教室

2Eコース

これからの銀行 〜チャレンジし続けることを目指して〜

1985(昭和60)年卒業株式会社 三菱UFJ銀行 マーケティング・事業開発部部長

井口 寧 氏(いぐち やすし)

 第23回「目路はるか教室」にて、母校の学び舎で、次代を担う若き後輩24名と交流する貴重な機会を頂戴しましたことについて、まずは普通部ならびに運営を担われました教職員、世話人の皆さまに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

そして、数あるテーマの中から、私の教室を選び、参加にしてくれました2年生24名の皆さんにも心から感謝申し上げます。

 10年間の慶応義塾での学生生活を経て、1992年に社会人生活をスタートさせ、その後28年間、銀行員として金融業界に身を置いてきました。この間、金融・銀行業界は大きな規制緩和と業界再編を遂げ、実際のビジネスにおいても、足許で大きな変化を求められています。私自身の銀行員としてのキャリアが、こうした変化に直接触れ、実際にその変化への対応を司る立場での仕事が中心であったこともあり、目路はるか教室でお話するテーマを「これからの銀行」としました。そして、このテーマを通じて、社会や環境変化に対してチャレンジし続けることの大切さをお伝えすることを狙いとしました。この「チャレンジを続ける」というテーマは、若き後輩へのメッセージであると同時に、私自身が自らに課しているテーマでもあります。

 テーマを選定した直後、準備の過程でちょっとした壁に突き当たりました。それは、自らが中学生であった頃を思い出し、当時の生活においては銀行との接点は全くなく、「銀行が何をやっている処か」については、興味すら持たなかったという記憶でした。そうした中学生の日常生活とは遠い存在である「銀行」をテーマとするに当たっては、「これから」を語る前に、銀行の「いま」を知ってもらう必要があり、中学生の目線で「銀行」の業務や役割を理解してもらうためにどう工夫するかが、奇しくも今回の教室における私自身のチャレンジとなりました。

 ところが、開催が迫った頃、参加される生徒から自己紹介文を頂戴し、その不安は払拭されることになります。今年は、銀行業界を舞台にした某TVドラマが高視聴率を記録したことも一助となったとは思いますが、参加予定の24名の皆さんの銀行への関心は想像以上に大きく、多くの疑問や問題意識が寄せられました。改めて我が母校で学ぶ若き血の問題意識の高さと、将来社会の枢要な立場を担える候補人材としての可能性を感じ、当日の教室が待ち遠しくなった瞬間でもありました。

 こうした経緯もあり、当日は3部構成でプロプラムを実施。第1部で、銀行業務とはどういうものかについて、根幹業務や社会で期待される役割を中心にお話しし、その業務が国民一人ひとりにとって、どのような接点を持つかについて、マネープランゲームを通じて第2部で体感してもらいました。そして、第3部では、足許でも話題となっているデジタル化や各種先端技術の実用化に伴う社会・経済活動の変化と、それによって変革を迫られている銀行業務の在り方について、具体的な事例を交えて、時間の許す限り紹介させて頂きました。

 参加された24名の皆さんに、銀行業務がどのように映ったかは、それぞれの捉え方があったかと思いますが、最もお伝えしたかった「チャレンジ」の重要さについては、少しなりとも私の言葉を通じて感じて頂けたと自負しています。

 若き後輩が、今後それぞれの分野で、それぞれのスタイルで活躍されることは間違いないことと確信していますが、その過程で、もしチャレンジすることを忘れそうになったり、挫けそうになった時、この目路はるか教室で私がお話ししたことを思い出して頂き、そしてこのメッセージが皆さんに少しでも勇気を与える糧となるようであれば、私にとってはこの上ない幸せです。

 最後に、またどこかで再会できることを楽しみにし、普通部で学ぶ皆さんにエールを送りたいと思います。普通部生諸君、失敗を恐れず、頑張れ!!

 

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