2019年度 目路はるか教室

3Jコース

ロボットが変える農業の未来

平成16(2004)年卒業株式会社 レグミン

成勢 卓裕 氏(なるせ たかひろ)

 『人とロボットが協業して野菜を作る』というコンセプトで株式会社レグミンを設立し1年が経ちました。私は、普通部から大学まで体育会弓術部に所属し、大学では体育会本部という体育会全体を運営する組織も兼務しておりました。

 学生時代から、伝統ある組織の「課題解決」や「文化を変えること」の難しさに触れ、いつかは社会の大きい課題にチャレンジしたいと考えていました。

 日本IBMではコンサルタントとして企業の業務改革や仕組みづくりに携わりましたが、コンサルタントとクライアントという立場もあり、なかなか思う通りの変革はできませんでした。

 そのなかで、海外出張中にふと近代的な農業を見かけ「これだ!」と感じて農業の抱える大きな課題へのチャレンジ・起業を決意しました。

 今回の目路はるか教室では、

・課題解決に取り組むときに心がけていること

・起業することの意義

・学生時代に学んでほしいこと

 を私なりの視点から伝えられるように構成させていただきました。

■講義内容

【農業の現状について】

 遊休農地の増加/農家の高年齢化の問題を起点に、新規参入者が増加しないことの背景として、生産性の低さや知識習得の難しさ等々があり、それらの解決策として「低価格で導入可能なロボット」、「知識習得を容易にし、経営管理もできる仕組み」の必要性を説明いたしました。

<伝えたかった事>

・課題や問題への打ち手を検討する際は、先ずは課題を分析する必要があること

・社会課題に向き合うとはいえ、きちんと収益化できるモデルを作るべきであること

【ロボットのデモ動画/距離センサを作ってみよう!】

 自社で開発しているロボットの走行中の動画をお見せし、ワークではロボットの必須アイテムでもある距離センサを普通部生1人1人に組み立ててもらい、対象物までの距離を画面に表示するセンサモジュールを作成しました。

【これからの時代に必要なこと】

 普通部生からのアンケートでは「なぜ安定した企業を辞めてハイリスクな起業を選んだのか」「今後の社会にはどのようなスキルが求められるのか」といった質問を多く頂きました。

 今後10年20年で大企業に勤めることが必ずしもリスクのない生き方にはならないのではないか。皆が就職をする頃も現在と状況が違ってくるなかで重要なことは、福澤先生の言う『実学』をきちんと学ぶことである。と説明いたしました。

<伝えたかった事>

・将来のために目先のスキルや知識ではなく、きちんとしたスタンス/考え方を磨くこと

・迷ったら何事にもチャレンジして欲しいこと

・学生生活では何ものにも代えがたい友人を見つけること

■振り返って

<受講してくれた普通部生へ>

 当日はとても真剣に講義に参加してくれてありがとうございました。

 皆が自分の将来に真摯に向き合っている姿を見て、私も負けてられないと素直に感じました。

 講義内容は大学生でも通用するような内容であったため、皆さんには難しすぎたかなと思っておりましたが、感想文を読めば読むほど私が想像していた以上に深く理解し、自分なりに解釈していたことに感動いたしました。さすが普通部生!

 今後の学生生活で、不安になることや友達とうまくいかないこともたくさんあると思います。そのような時にはぜひ、前向きにチャレンジし、失敗は素直に反省し、いい学びを得てほしいです。

 今日の講義が、1つでもそういう時に役立てば心から嬉しく思います。

<目路はるか委員会・教員の皆さま>

 この度は、貴重な機会をいただきありがとうございました。

 私のような年次でこの大役は不安でしたが、皆さまのご支援もいただき自分らしさのある教室を作れたのではないかと思っております。心より御礼申し上げます。

 

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