2019年度 目路はるか教室

1Gコース

将来、企業経営者を目指す若者へ 〜経営コンサルタントとしての視点、経験から〜

昭和60(1985)年卒業山田コンサルティンググループ 株式会社

西村 勝之 氏(にしむら まさゆき)

 この度、目路はるか教室にて講話をさせて頂く機会を頂き、慶應義塾普通部OBとして大変光栄であるとともに、初々しい若者、後輩に向けて、これまでの自分の経験や思いを整理し、伝えられる場を頂けました事、大変感謝しております。関係各位の皆様、誠に有難うございました。

 講話の内容につきましては、私自身が卒業後、銀行員、税理士、経営コンサルタントとしてこれまで多くの経営者の方々と共に様々な経営課題解決に向けて取り組んできた経験を通して、企業経営者=社長という仕事のやりがいや苦労、それを支える経営コンサルタント等、外部から関わる面々の役割やその重要性等についてお伝えできる事があるのではと思い、「将来、企業経営者を目指す若者へ」という演目で講話をさせて頂きました。

 具体的な講話の内容としましては、まず最初に、経営コンサルタントという仕事について、業績不振企業の再生支援に向けた現場の事例を基に話をしました。粉飾発覚を機に取引金融機関から返済を迫られ、倒産寸前、崖っぷちの状況から案件がスタートし、その後押し寄せる数々の難題を経営者と共に夜な夜な知恵を絞り、汗をかき、日々不安に駆られる目の前の現実からも逃げずに、時に孤独の中で悩める経営者に寄り添いながら、先の見えないゴールに向けて併走し続ける、そんな苦しい過程、時間を共にすることで、最後に得られるこの仕事の達成感ややりがいについて話をさせて頂きました。経営コンサルタントという仕事にも様々な分野や形があるわけですが、決して華やかなものではなく、このようなタフで地道で泥臭い現場もある事を知って頂き、少しでも興味を持って頂けたら嬉しく思います。

 次に企業経営者=社長という仕事の内容、経営者に必要な資質等について話をしました。最初に生徒達に社長のイメージを尋ねたところ、「かっこ良い、偉い、威張れる、金持ち、座って指示だけしていれば良い」等、微笑ましい意見も多く出たのですが、実際には、日々困難を伴う意思決定の連続であり、時に非情な判断を下し、常に将来への不安をも抱えながらも四六時中、会社の事を考え続ける、そんなタフでもあり、時に孤独に苛まれるハードな仕事であるという話をしました。驚いて聞いている生徒も多くいたので、おそらく想像していたものとはかなり違っていたのかも知れませんが、一方では、その分だけやりがいがあり、大きな達成感が得られる素敵な仕事である事も併せて説明させて頂きました。

 前後半の講話の間には、「人のタイプ診断とタイプ別付き合い方」という簡単なテスト形式のワークを挟みました。自己主張と感情表出の高低で人のコミュニケーションタイプが大きく4つのタイプに分かれるとする診断で、引率の先生にもご参加頂き、相手のタイプの当てっこをしたりして大変盛り上がりました。このワークを通じて、相手の思考や表現の癖、特徴を理解することにより、他者への理解が深まり、円滑なコミュニケーションが図れるようになることを体感して貰えたように思います。

 以上、今回の講話全体を通じて、企業経営者=社長という仕事、それを支える経営コンサルタントという仕事、役割について少しでも理解を深めて頂き、何れ自らの将来を考える際に、今回の話が少しでも皆様の役に立つことになれば、これ以上の喜びはありません。

 最後になりますが、私の拙い話に、最後まで目をキラキラさせて聞いてくれた皆さん有難う。生徒全員が真剣に、そして積極的に参加してくれたおかげで、この機会は私にとりましても生涯、忘れられない貴重な思い出、経験となりました。今回、ご縁を頂いた小さな紳士たる皆さんが、将来、様々な分野で活躍されることを心より期待し、応援して参ります。

 あらためまして、今回のこのような貴重な機会を頂いた諸先生方、世話人の皆様、誠に有難うございました。

 

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