2019年度 目路はるか教室

1Dコース

木質バイオマス発電について 〜森林資源の活用と環境保全〜

昭和57(1982)年卒業紋別バイオマス発電 株式会社

髙田 晴郎 氏(たかだ せいろう)

 北海道での木質バイオマス発電事業の立ち上げは、2011年にオホーツク地域の森林資源調査を行ったことがきっかけです。当時、育林の過程で発生する間伐材の利用がほとんどされず、山に捨て置かれていました。また、昭和30〜40年代に植林された森林が伐期を迎えながら、木材価格低迷や木材利用が乏しいことから伐採が進まない状況がありました。

 森林資源は、石油等の化石資源と異なり、人間の手で再生することができる資源です。この森林資源を未来に残していく、また森林資源を将来活用するためには〝林業〟という生業を繋げていく必要があります。

 森林資源を余すことなく活用することで、山林の付加価値を高める。伐期を迎えた山林は適切に活用し、再植林して将来にバトンタッチする。そんな思いから、この木質バイオマス発電事業は始まりました。

 木質バイオマス発電のために木を伐りすぎて、山の木がなくなってしまう。という意見もありますが、心配はありません。オホーツク周辺の山林は、森林経営計画を取得した山が多くあります。森林経営計画とは、山林事業を永続的に行うために伐採量を決めて、伐採後に再植林していくものです。現状の日本の山林は、森林資源の成長量が伐採量を上回っていますので、もっと森林資源の活用ができる状況と言えます。

 森林資源の活用方法はたくさんあります。木材で家を建て、家具を作る。最近では木造の大きな建物(ビルや校舎)も建てられています。紙の原料も木です。もっと木を活用し、その活用した木や木材を最後に燃料利用する。また、森を育てたり、伐採する時に発生する未利用材を燃料利用することで、大切な森林資源を余すことなく活用できます。

 山林は、木材の供給だけでなく、水源涵養、二酸化炭素(温室効果ガスの一種)の吸収といった自然環境の維持にも重要な機能を持っています。

 また、木質バイオマス発電は、天然ガスや石炭などの化石資源の使用抑制にもつながります。新たに取り組んだこの木質バイオマス発電事業が、森林資源の活用・地球環境の改善に少しでも貢献できればと思っています。

 皆さんが森や木の活用、自然環境に興味をもって、それが少しずつでも行動に繋げていくことで、日本だけでなく世界の環境保全が進むことに期待しています。

 住友林業㈱への就職当時、将来の自分が電気の仕事をするとは想像できませんでした。但し、木は再生可能できる資源で、多くの可能性があると考えていましたし、山林・建材・住宅など多くの事業を行う住友林業なら新たな仕組みづくりにも挑戦できると考えたことを覚えています。多くの仲間に恵まれて、木を活用した新たな事業に取り組めていることをとても幸せなことだと感じています。

 今回の目路はるかで、自分の人生を振り返ってみました。その中で思ったことは「人生の選択肢、全部正解」です。

 岐路で悩み考える事は大事で、私も進学、就職、仕事といろいろ悩んだこともあります。おそらくそれは、選択肢の中から正解を探すのではなく、選択肢に向かって進む覚悟をしていたのでしょう。

 現在の自分は、選んだ道を進んでたまたま辿り着いたのではなく、選んだ道の中で自分なりの答えを見つけようといろいろ取り組んだ答えだと思います。選ぶことに労力を費やすよりも、選んだ道で努力し、自分なりに答えを出すことが大事なのだと気付きました。

 100通りの選択肢があれば、100通りの正解があるのでしょう。皆さんの人生にも素晴らしい正解が沢山待っています。皆さんのこれからの沢山の活躍を楽しみにしています。

 自分のこれからの人生でも選択肢があるはずです、自分の選んだ道で自分なりの正解を見つけていきたいと思います。

 目路はるか教室での素晴らしい時間、ありがとうございました。

 

前の講師を見る


2019年度トップに戻る


次の講師を見る