2018年度 目路はるか教室

3Bコース

海外ビジネス経験とスポーツから学んだもの

昭和48(1973)年卒業NEC日本電気(株)グローバル事業推進本部/アメリカンフットボール三田会(会長)

吉川 理裕 氏(うえはら けん)

 今回の目路はるか教室は、NEC本社ビル内会議室における講演、

 Part-1:海外ビジネス経験談=中東・アフリカ経験談=

 Part-2:アメリカンフットボールを知ってください=スポーツの持つ意義と目的=

に続いて有楽町・東京国際フォーラムに移動しNEC主催の情報通信展示会を見学頂いた。

本社ビル内講演:Part-1:海外ビジネス経験談

 私の1980年代のイラン・イラク戦争中のイラク・バグダッド駐在時代の経験談、特にその当時自分自身ではさしたることと思わずに過ごしていた、1)戦争の実体験(イランからのミサイル攻撃が自宅2km周辺に着弾)、戦時下の特殊性(電話盗聴監視体制や物資の流通の制限)、2)湾岸戦争の体験からイスラエル/パレスチナ問題の背景と実体験(パレスチナの地にあるべき自宅の鍵を親から引き継ぎ肌身離さない従業員の話)などをお伝えし、「日本にとって原油確保という観点から重要地域である中東の難しさ」と「何が起こるかわからない地域の特性」について語らせて頂きました。

 2回にわたるアフリカ駐在経験談では、1)サブサハラ地域における言語の特殊性(言語は2000種類以上あるが、文字はほとんどなくアルファベットであること)から、共通のルール、規則を周知徹底する歴史がまだ浅い地域であること(日本と好対照)2)一つ一つの国がコンパクトであることから、国家元首などにお会いする機会も多く、醍醐味がある、などの面白みなどもお伝えしました。

 海外ビジネス体験談のしめくくりとして、1)「日本という資源を必要とする国の宿命として海外とビジネスを行う必要があること」、2)「予測しきれない事のおきる海外において他人の判断に頼らず、自らの情報と知識で判断すること、そのためにもできる限り多くの情報と知識から最終的に判断するべきであること」、従って「多くを学ぶことが重要であること」を強調してお話ししました。

 Part-2では、「アメリカンフットボールを知ってください」と題し、アメフトの歴史、成り立ち、魅力を説明。また本年5月の「反則タックル」事件にも言及し、1)「スポーツとは人の闘争本能の昇華」である、として人類の平和維持に必須のものであること。2)一人一人の「ルール厳守」の精神がいかなる組織、体制強化論よりも重要であることを語らせて頂きました。

講義後の質疑応答では、

—勉強と部活との兼ね合い

(部活一生懸命やっていた時は勉強もはかどった、と回答)、

—アフリカの講演から「汚職はなぜいけないのか?」

(人の努力の意欲を失わさせるから、と回答)など、興味深い質問がありました。

講演後の展示会視察では短時間ではあったが最新のICT技術を知ってもらい、一部の生徒に限られたが、実際にデモ体験することも出来。デモ体験時には、生徒から歓声があがることもあり。顔認証、自動運転、無人ショップ、宇宙衛星等を中心に、ICT技術に関心を寄せて頂くよい機会になったと思う。

 3時間の間に海外ビジネス、スポーツの意義、IT展示会と皆さんに欲張りすぎて盛りだくさんにしたため、やや竜頭蛇尾の感があったが、学生諸君の将来にヒントになれば幸いである。

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