2018年度 目路はるか教室

2Bコース

「自分の道を探そう」 ホッケーと調達の仕事で得た事

昭和50(1975)年卒業北芝電気 株式会社

雨宮 晋一 氏(あめみや しんいち)

 

 今回、「目路はるか教室」の2年生Bコース25名の皆さんに、学生時代と会社生活での経験を通じ得た事の話をさせていただきました。中学2年生の皆さんにどれだけ自分の想いが伝わったのか気がかりでした。そうした中、感想文を受けとりました。皆さんがそれぞれの興味・関心を持って話を聞いてくれた事、その中で感じた事がストレートに伝わり、心が動きました。若々しく感受性豊かな普通部の皆さんとの交流を持てた事に、大きな幸せを感じています。皆さん、メッセージをありがとうございました。

 私にとっての「目路はるか教室」は、春に講師の話を頂いてから、普通部卒業後40年以上の歳月の振り返りからスタートしました。6月の土曜日、普通部を訪問し、先生に校内を案内いただきました。新しく立派になった校舎、同窓会ルーム「有眞舎」等、その変貌に目を見張りました。一方、体育館や技術室、美術室は昔の面影が残っており、元気な普通部生の姿と重なり、一気に昔にタイムスリップした気分になりました。月日の重みを実感すると共に元気をもらいました。

 今仕事では、将来の目標を定め、そこから現在に立ち戻ってやるべき事を考える「バックキャスト」という手法を使う場合があります。この考えに基づき、私の仕事や学生時代の経験の中で、皆さんの将来に参考になる事、心に引っ掛かる事がないかを探し準備し、皆さんに語りかけました。

 普通部時代は、なかなか夢中になる事が見つからず、音楽、山登り、スキー、電車旅等で多くの友人と交流しながら、自分の道を手探りで求めていました。高校入学後、ホッケーに出会い熱中、大学卒業まで続けました。「普通部→塾高」と場所や構成人員が変わるシステムは「自分探し」のスイッチの切換えがし易く、挫折感や停滞感を味わってもそこで立ち止まらず、自分を見つめ直す良い機会と捉え行動する事が出来ました。ホッケーでは、高校で大事なところで負けてしまった借りを大学で返せた事や塾・先輩のご理解・支援を得て、香港遠征、天理大学合宿、早慶戦、NHKテレビスポーツ教室出演等数々の経験が出来た事をお話ししました。その中で「学生である自分達」の考えを、勇気を持って学校や先輩方にぶつけた経験から、行動によって変化を起こし、物事を推し進められる事をお伝えしました。

 私の社会人としての経験は、電気機器製造業における様々な事業・場所での「調達」業務がベースとなっています。そこで、「調達」とは何か?をなるべく分かり易く説明しました。皆さんからの感想文では、「調達」の役割・重要性、及びキーワードで説明した「QCDS」に関心を持ってもらった事が分かりました。また体験談の中では、調達品のトラブル対応で、スイスの取引先に何度も行き交渉を重ね、その結果「雨降って地固まる」関係を築けた事、台湾で急拡大した業務や大震災での募金等で得た台湾の取引先の皆さんやスタッフとの心の交流、再エネ、省エネ技術で東北の復興に貢献する現在の福島での仕事等について説明しました。困難に直面しても、逃げずに自分で考え立ち向かえば、理解者や協力者が現れ、道が拓ける事をお伝えしました。これらについても多くの感想をもらいました。

 体験談の後、「東芝未来科学館」を見学してもらいました。会社の事業の歴史と未来に向けた電気産業の社会への貢献についての説明に熱心に聞き入る姿、超伝導の実験に目を輝かせ質問する姿を見て、皆さんの未来を感じました。

 「有眞舎」に掲示されていた講師の方々の名札を見た時の想いを、体験談の最後に次の通り伝えました「一人一人が皆別々の道を探して行き、誰一人として同じ道を歩むことはない」。「自ら考え、自分の道を探す」という強い意思と行動力をもって慶應義塾の学生生活を送って下さい。たくさんの素晴らしい出会い、経験、感動と言う人生の宝物が、皆さんを待ち受けています。

前の講師を見る

2018年度トップに戻る

次の講師を見る