2018年度 目路はるか教室
2Aコース
社会人に向けての「土台」を作ろう!
昭和48(1973)年卒業三菱商事 株式会社
中川 龍士 氏(なかがわ たつし)
今回の授業では「総合商社の業務 〜鉄道インフラ輸出について〜」のテーマに沿って鉄道インフラ輸出について話しました。鉄道建設には莫大な資金が必要な事、計画から建設終了まで長期間を要する事、日本の政府や企業が海外での鉄道建設に多大な貢献をしている事などを理解して頂けたと思います。普通部生の皆さんが将来の職業を考える上で、一つの参考になれば幸いです。今後、高校そして大学へ進学して、社会人になるまでには8年の年月があります。その間に多くを学び、経験を積み、希望する職業や将来像について自分の考えを少しずつでも良いので固めて下さい。その過程で大切なのは、人としての「土台」をしっかり作る事と考えます。色々な事にチャレンジして、目標達成に向けて成功や失敗を繰り返し、その積み重ねが自らの血となり肉となって社会人に向けての「土台」が作られると思います。福澤諭吉先生の言葉に「まず獣身を成して而して後に人心を養え」とありますが、私なりの解釈がこの「土台」作りです。
授業では触れなかったので、私自身の「土台」作りの経験を参考までにお話しします。私の場合は、普通部、高校、大学体育会、そして今も続けているラグビーが「土台」作りに大きく影響しています。ラグビーを通じて、強靭な身体と精神力、フェアプレー精神、チームメンバーとの信頼関係、相手チームへのリスペクト、そして、ラグビーの基本である〝One for All, All for One〟(一人は皆の為に、皆は一人の為に)のスピリットを養いました。但し、それは容易なことではなく、苦難や逆境も多々ありました。高校2年生の時には試合で腰椎を痛め、歩行すら出来ない負傷を負いました。医者からは「手術すれば歩けるようになる。但し、ラグビーには復帰出来ないかも知れない。」と言われ、悩んだ末に私は手術をしない決断をしました。それからはリハビリに励み、負傷した場所を補う為の筋力トレーニングを重ねた結果、半年後にラグビーに復帰出来ました。大学2年生の時には、つかみかけているスタンド・オフのレギュラーポジション獲得を目指して練習に没頭するあまり、大学の授業への出席が疎かになって留年、父親からは「学業を疎かにする者にラグビーをする資格はない!」と厳しく説教されました。父親の言う通りであり、深く反省しました。そんなこんなの苦難を経てレギュラーポジションを獲得、進級も果たし、そして、学生最後の大学5年目もラグビーを続け試合に出場、その年(1980年度)の関東大学ラグビー対抗戦で早稲田、明治、帝京らを退けて慶應が23年ぶりに優勝を勝ち取り、大きな充実感と達成感を得る事が出来ました。これら、学生時代にラグビーを通じて培った全てが私の「土台」を成しています。そして、その「土台」の上に、社会人になってから学んだ事や経験が積み上がっています。
自分の進む道を見据え、勇気をもって一歩を踏み出し、目標達成に向けてチェレンジし続け、そして、社会人に向けての自分自身の「土台」をしっかりと作って下さい。