2018年度 目路はるか教室
1Cコース
失敗を恐れずにチャレンジしましょう
昭和51(1976)年卒業株式会社 三越伊勢丹ホールディングス
杉江 俊彦 氏(すぎえ としひこ)
この度は「目路はるか教室」で普通部の皆様にお話をする機会をいただきまして、ありがとうございました。
当日は、弊社の三越日本橋本店にお越しいただき、先ずはお店を見学していただきました。
三越前駅のコンコースにある熈代勝覧絵巻や正面玄関のライオン像などを見学し、三越の歴史や由来について学んでいただいた後、バックヤードや事務所内も見学していただきました。華やかなイメージの百貨店の表側だけではなく、裏側の部分も学んでいただけたのではないかと思います。
その後、研修室に場所を移し「人と時代をつなぐ三越伊勢丹グループ」と題した講義を聴いていただきました。最初に「商業の歴史」「のれん・ブランドは何故生まれて発展してきたのか」をご説明した上で、百貨店がどのように生まれ、今に至ったのかを学んでいただきました。三越や伊勢丹という「のれん」や「ブランド」は一朝一夕で生まれたものではなく長きにわたる企業とお客様の信頼関係の中で構築されたものであることを理解していただけたのではないでしょうか。また、今では一つの建物のように見える三越日本橋本店や伊勢丹新宿本店も、実は10以上の建物の増築を経て造られていることや、伊勢丹新宿本店を建てる際、隣の百貨店を買収することを前提にフロアの高さを合わせて設計し、後に本当に買収をして建物をつなげたことなどは、皆様にとても感心をもって聞いていただけたように思います。
更に百貨店の規模を理解していただけるように、いくつかの数字を提示させていただきました。伊勢丹新宿本店の年間来客数がディズニーランドよりも多いこと、伊勢丹新宿本店で働いている人の数が1万人を超えるということには、とても驚かれていたようです。
そして、私の経歴に加え「社長の仕事」についてもお話いたしました。社長の仕事とは①ビジョン・戦略を作る Aフォーメーション(組織×人のあてはめ)を決める Bメンバーを鍛える C最終の決断をする アとであり、①〜③はスポーツの監督と同じようなもの、④はスポーツであれば選手がやることですが、会社では社長がやらなくてはいけないことであるとご説明し、皆様にも理解していただけたようです。
最後に「私が会社人生で学んだこと」「皆様にお伝えしたいこと」として、社長になったからといって会社での仕事が全て上手くいったというわけではなく失敗の連続であったこと、失敗から学ぶことの方が成功したことよりもはるかに多いこと、そして、失敗を恐れることはないことをお話し講義を終了いたしました。
普通部は素晴らしい学校であると思います。何よりも先生との距離が近く、授業が楽しかったことを思い出します。また、労作展や学校外活動など授業以外での活動も多く、今でも良い思い出になっています。このような恵まれた環境の中で、失敗を恐れず、できる限り多くのことにチャレンジし、充実した学生生活を送っていただくことを願っております。また、今回の私の「目路はるか教室」が、その一助になれば幸いです。
今回、講義をしながら普通部の皆様を見ておりましたが、とても前向きに話を聞く姿勢をもっており、感心いたしました。また店内見学中の行動も素晴らしく、お客様からも「慶應の学生はとても行儀が良い。」とお褒めの言葉をいただき、OBの一人としては非常に嬉しく思いました。
最後になりますが、今回の教室で準備の段階よりお世話になりました鎌田先生、日本橋まで引率下さいました國分先生、中川先生、そして、私にこのような機会を与えて下さいました関係者の皆様に、改めまして心より御礼を申し上げます。