2017年度 目路はるか教室

1Gコース

脳の病気を知ろう―どんな病気があるの? どうやって診るの?―

昭和58(1983)年卒業慶應義塾大学 医学部神経内科

伊東 大介 氏(いとう だいすけ)

 今回は目路はるか教室で母校の生徒様にお話しする機会をいただきましてありがとうございました。将来性豊かな中学生と貴重な時間を共にすることができて身に余る光栄でありました。

 教室は、平成29年11月10日午前中に24人の普通部1年生と引率の宮内完二先生、高橋傑先生にお越しいただき、慶應義塾大学信濃町キャンパスでおこないました。残念ながら、個人情報保護や感染症予防等の理由から慶應病院の見学は許可が下りませんでしたので、キャンパス内、図書館、医局および研究室の見学を行いました。その後、臨床研究棟の1階ラウンジでスライドをつかってお話をいたしました。

 最初の1時間は、私自身の普通部生時代から神経内科医になるまでの経緯や葛藤につき述べました。荒れていてトラブルばかりおこしていた普通部在学時から科学に興味を持ち脳神経の医療を志すまでの過程を説明したのですが、お世辞にも健全とはいえない私の学生時代の話を聞いて、生徒たちはびっくりしたかもしれません。

 次に、私が専門としている神経内科について紹介しました。頻度の高い脳の病気である脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病に関して原因、症状、治療を解説しました。脳の病気の多くは難病で、これからの研究がますます重要であることをわかっていただけたと思います。生徒たちは、大変熱心に聞いており、数多くの鋭い質問が出たのには驚きました。

 最後に、神経診察の実際を簡単に説明しました。本物の打腱器を用いて二人ペアで腱反射を出すことを体験していただきました。みんなはじめての膝蓋腱反射に興味を持ってくれたようです。(打腱器を10本準備していただいた信濃町学事課の方、ありがとうございました。)

 生徒のみなさんは純真かつ聡明で、義塾の未来を担う者たちとして大変頼もしく思えました。屈折し、とげとげしかった35年前の自分の姿と対比させ、なんとも感慨深い気持ちになりました。あわせて、今後も義塾の将来を担う若者の育成に微力ながら尽力したいとの思いを改めて強くもちました。

 最後に、宮内先生、高橋先生にはお忙しい中ご指導いただきまして誠にありがとうございました。

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