2016年度 目路はるか教室

2016年度 目路はるか教室 1年全体講話

まだまだ早いアンチエイジングのお話

昭和49(1974)年卒業日本アンチエイジング歯科学会 常任理事、石河歯科医院

石河 信高 氏(いしかわ のぶたか)

 アンチエイジングとは抗加齢と訳され中年以降のイメージが強いが、若いうちから生活習慣を整え今から備えるウエルエイジング(上手に加齢)が必要で、生活習慣を整えるためには(1)運動、(2)睡眠、(3)食が大切です。(1)運動は中学生においてはまだ成長途上であり、激しい運動ではなく呼吸器・循環器の発育を促す有酸素運動を行って持久力をつけることが必要です。(2)睡眠は睡眠ホルモン(メラトニン)、成長ホルモンの正常な分泌を促すために体内時計を24時間にリセットしなければなりません。そのためには、夜遅くまでスマホやPCのブルーライトを浴びないように気をつけ規則正しい生活が必須です。(3)食に関しては血管の老化を促進する血糖値の乱高下を避けるために、朝食を抜かずに3食きちんと食べることが必用です。規則正しい食生活が血管の老化を防ぎ将来の成人病予防につながります。
 WHO(世界保健機関)は2015年3月に、「成人が1日に摂取する砂糖の量は25gまでに留めるべき」と勧告しましたが、砂糖は麻薬と同じで脳内が活性化し、最近では砂糖依存症という呼び名も存在します。今回は代表的な飲み物・アイスクリームの砂糖含有量を提示しました。また、炭酸飲料の過剰摂取は酸蝕症(さんしょくしょう)となりエナメル質が溶けてしまいます。特にスポーツドリンクは砂糖と炭酸飲料の二重摂取になるので過剰に摂らないことが大切です。さらに最近では喫煙すると遺伝子に傷がつくことが解ってきたので、子孫に負の遺産を継承しないためにも将来的にも喫煙しないことが望まれます。
最後に中学生を診療して気付いた歯ブラシの方法や歯磨剤の量についてお話し、沢山の質問を頂き感激しました。これからも口腔内に関心をもち、高校生になったらば早めに親知らずの健診をうけることにより歯並びが狂わないように気を付けることと、一生のかかりつけ歯科医を持つことが大切です。
 講話後感想文を頂き、全て目を通しました。小学生の頃とは違い、自由に飲み物・昼食・間食を摂る自由を謳歌してジャンクな食習慣になることが多い昨今、生活習慣まで含めての見直しに気付いてくれたことを先輩として感謝します。テレビを見ると美味しそうなスイーツやジュースなど、ついつい買いたくなると思いますが、これからは講話を思い出して歯止めをかけて、また時として記念日などにはご褒美として摂るのは大丈夫です。「自分の知らない世界にも興味を持とう」という言葉が皆様の記憶に残って幸いです。これからの人生、色々な出会い・苦労・挫折が訪れますが、視野を大きく持ち、何でも相談のできる友人を沢山作り、心も身体も健康なアンチエイジング的人生を送ってください。