2024年度 目路はるか教室
3Fコース
こどもの手を良くするために 〜小児整形外科診療と国際医療支援 mission trip〜
国立成育医療研究センター 整形外科 診療部長
高木 岳彦 氏 (タカギ タケヒコ)

「このコースを選択した生徒は3年生の中でも元気でやんちゃな生徒が多いですね」
そのように開始前に聞いていましたが、「小さい頃から骨折ばかりして変形に気をつけるよう言われている」「ラグビーで肩の脱臼を繰り返し春に手術を受けた」など、事前アンケートには一人一人エピソードが多数寄せられ、自分も詳しく聞きたくなり、対話を重視して話を進めました。最初の1時間では、普通部から高校・大学を経て、整形外科医になり小児の手の治療を専門とするに至った経緯や、生まれつき手の障害を持つお子さんへの対応について、皆に考えてもらいながら話をしました。
次の1時間は、生徒からの要望も強かったため、診療に使っている超音波機器で自分の筋肉や腱が動く様子を観察してもらいました。また手術用ルーペをかけて模擬皮膚を縫う体験もしてもらいました。拡大視できることに面白さを感じたようで、拡大された顔や周囲のものをお互い覗き込んで楽しんでいましたが、雰囲気は感じ取ってもらえたと思います。さらに、神経や血管を縫うために髪の毛よりも細い糸を使うこと、その縫合技術を習得するために自分が実際に練習で使っていた顕微鏡を持参し、どれほどの細さの糸を拡大して縫っているかを体験してもらいました。その驚き、感動している姿に貴重な学びの機会を提供できたと感じ、いろいろと準備した甲斐がありました。
最後の1時間では、子どもの手の治療はまだ開発途上国に十分行き届いていない現状を踏まえ、ホンジュラスやベトナムなどで最近行っている医療支援活動について、実際の動画や写真を見せ ながら話しました。現地の子どもたちの手を治療するだけでなく、持続可能性の観点から現地の医師への教育の重要性についても伝えました。
挑戦する心、人と人との繋がりを大切にして今に至ったことをお話しして締めましたが、聴講してくれた23名の普通部生とここで新たな繋がりが生まれました。
これからの普通部生一人一人の活躍を心から楽しみにしています。