2024年度 目路はるか教室

2Cコース

災害が襲ったとき、子どもにどのよう影響がおきるのか? 東日本大震災の経験から

医療法人仁寿会菊池医院 院長/認定NPO法人郡山ペップ子育てネットワーク 理事長

菊池 信太郎 氏 (キクチ シンタロウ)

 思えば普通部を卒業以来、一度も母校を訪れることなく38年が経っていました。今回このような機会を頂けたことに心より感謝いたします。同期の清水健君からお声掛けを頂き、大役を任されてしまいました。東日本大震災を福島で被災した普通部卒業生は恐らく他になく、その経験を後世に伝えるべきだと、私に託してくれたのだと思いました。
 さて何を話そうか散々悩みましたが、先ずは発災後の身の回りに起きたことを紹介し、いくつかの体験をして頂こうと企画しました。地震の発生から放射線汚染事故、長期にわたる屋外活動制限が起き、その結果特に子どもの心身に多大な影響を及ぼしたこと、今も風評が続いていることを話しました。体験企画の一つ目は地震体験車で実際の揺れの体 感です。最近の体験車は高性能で、東日本大震災、関東大震災や予想される南海トラフ地震の揺れを疑似体験しました。次に、屋内でしか遊べなかった子どもを元気にする思いで開設した屋内遊び場にある遊具で運動遊びを体験し、最後に健康啓発を目的に作成したカードゲーム(食育モンスター)で、登場するキャラクターから栄養素や食事をすることの重要性を学んで頂きました。
 日本では災害が毎年のように発生しています。生徒さんは将来起こり得る南海トラフ地震に非 常に関心が高く、本当に災害が襲ったときに何が起きるのか、どのような影響が起きるのかをより深く考えるヒントを得たのではないかと思います。最後にお伝えしたことは、人との出会いや関係性が何より大切な宝物であるということです。震災後、私は世間の想像以上に大変な思いを沢山しましたが、一方で色々な人との出会いがありました。物資だけでなく、アドバイスや勇気、そして何かにつけ惜しみない力添えを多く頂きました。この教室の開催もその一つの結果です。皆さんには、これまでの、そしてこれからの出合いと繋がりを大切にして毎日を過ごしてほしいなと願っています。

前の講師を見る


2024年度トップに戻る


次の講師を見る