2024年度 目路はるか教室
2Gコース
設計者だってコミュ力が必要! 〜鉄道車両の設計の観点より〜
東日本旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 モビリティ・サービス部門 車両技術センター マネージャー
水谷 恵介 氏 (ミズタニ ケイスケ)

このたびは、目路はるか教室で講義する機会をいただきありが とうございました。またこの講義を選んでくれた生徒のみなさん、ありがとうございました。
鉄道車両はメーカと鉄道会社との間で数段階の設計プロセスを 経て製造されます。講義では、それぞれの段階で多くの人との関わりがあって車両が出来上がっていることを学んでもらいました。そもそも鉄道を運行するうえでは、運転士・駅員・車両整備員・保線員など多様なスタッフがおり、鉄道の安全は正しいコミュニケーションの上で成り立っています。過去の大事故や製造不具合などを例に、受講したみなさんに理解を深めてもらえたと思っています。
講義の中では、グループに分かれて絵やイラストをことばだけで伝える演習を行い、コミュニケーションの難しさを体感してもらいました。温泉マークの湯気の部分を「合同の縦長のS字を3つ横に並べる」と表現したり、「大きな星を中心とした右側の弧の上に4個小さい星を並べる」と中国国旗の五芒星を表現したり、各グループとも中学2年生の数学の知識を存分に生かした回答をしてくれました。やってみるまでどのような結果になるかわからなかったのですが、私の想像を大きく超える表現方法で伝えてくれたグループもあり、こちらも勉強になりました。ほかにも、実際の鉄道車両の設計図を手に取って、組立図から部品図までの構成を確認する作業を一緒にしてもらいましたが、初めて見るにもかかわらず私が説明している箇所を見失わず、しっかり目で追ってくれました。普通部生の実践力の高さを改めて感じたところです。
最後に、将来社会に出たときに多くの人々と円滑なコミュニケーションを取るためにも、「ナイスガイ」になろうとお話ししました。皆さんには引き続き「ナイスガイ」として楽しい普通部生活を送ってほしいと思います。