2024年度 目路はるか教室
1Eコース
未知の世界に飛び込もう!日米の違いと医学研究の魅力
ワシントン大学 医学部皮膚科 アシスタントプロフェッサー
川澄 正興 氏 (カワスミ マサオキ)

私は、シアトルで皮膚がんの研究をしています。37年前に普通部に入学、山﨑一郎先生が担任のD組でした。目路はるか教室を通じて、普通部で学べた幸せを改めて実感しました。
教室では、「人生の幅を広げると、多くの仲間ができて、楽し いよ。だから、勇気を出して、いろんなことに挑戦してみよう!」と呼びかけました。内気だった私は、遠泳やランニングの会、テニス部、音楽部を通じ、仲間と活動する楽しさや最後まで頑張る大切さを学びました。これが医学部弓道部でのリーダーシップや、文化の違いや英語の壁といった困難を乗り越えて海外で20年間医学研究をすることにつながったのです。皆さんも普通部生であることに誇りを持ちつつ、自分たちが恵まれた環境にいること(Privileged)を忘れず、先生や両親へ感謝の気持ちを伝えてほしいです。
がんは、DNAに傷がついて細胞が異常に増える病気です。マウスに緑茶を飲ませると紫外線による皮膚がんが減るという研究や、コーヒーを飲む人で皮膚がんが少ないことを話しました。チョコレート消費量が多い国ほど、人口あたりのノーベル賞受賞者が多いことにも触れ、「チョコレートを食べるとノーベル賞が取れるのか?」をテーマに議論し、研究デザインを発表してもらいました。実際の研究で使われている手法が、一年生の口から出てきたことに驚きました。さらに、日米の違いや研究者と医師の比較、将来挑戦したいことを各自付箋紙に書き、模造紙に貼ってもらいました。休憩時間には、実物の聴診器を体験してもらいました。
普通部生の今こそ、普通部の歌にあるように「いざよく学び いざよく遊び」と両方頑張るチャンスです。当時の齋藤公一部長先生が常々おっしゃっていた、福沢諭吉先生の「気品の泉源 智徳の模範」を体現し、先導者として社会に貢献してください。
普通部生の積極的な発言や夢に感動し、あっという間の三時間でした。この機会をくださった先生方、諸先輩方に厚く御礼申し上げます。