2020年度 目路はるか教室
1Eコース
ビジネスとしての建築デザイン
1979(昭和54)年卒業尾張屋土地 株式会社 取締役社長
峯島 茂之 氏(みねしま しげゆき)
普通部時代から弓術部に身を置いていた私は大学で普通部コーチとなって以来、平成10年から16年間務めた普通部弓術部監督を含めて、途切れず普通部にお伺いしていましたので、普通部は日常の一部であり続けておりました。
同じ銀行に勤務していた濱野さんから目路はるか教室の講師をやってみないかと連絡を貰った時は、普通部に行き慣れていたが故に、講師の対象となることが全くの予想外で戸惑いもありましたが、長年お世話になっている普通部にご協力できる機会としてお受けさせていただきました。講師の役割を終えて、普通部の授業の一端を担う経験を持たせていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
私の講義に参加してくれた普通部生の皆さん、ありがとうございました。
聞いてみたかった話、期待していた内容でしたか?
事前の自己紹介文を読ませていただき、ほとんどの皆さんが建築やデザインについて具体的に興味を持っていることを知り、驚きとプレッシャーを感じました。
建築は理工学で人気の分野である一方、芸術鑑賞、街歩き・観光の対象でもありますね。
でも私の話はそのどちらでもなく違った角度で、お客様の要望を解決してビジネスを進めていく有効な手段としての「デザインの力」という現実的な話をさせていただきました。
事後のアンケートで、「期待外れ」という感想が多くなることを正直心配していましたが、皆さん私の意図を理解していただき、想定外の話に興味を持ってくれて、とても嬉しく思います。
講義 9:10〜10:50 武蔵野商工会議所会議室
導入部
姫路城からガウディ、ル・コルビュジエ、現代のオフィスビルに至る写真を見ながら、建築デザインの流れのイメージを持って貰いました
本題の内容は次のような流れです。
- デザインの語源、その言葉の本来の意味、アートとの違い。
- グッドデザイン賞について
- 不動産ビジネスの進め方とデザインの関係
- エコな住宅を、日本家屋の知恵をヒントにデザインする事例
- デザインが建物に住む人の諸問題を解決する事例
- 古い建物に新たな命を吹き込むリノベーションについて
- 今注目の木造建築が見直されている理由
質疑応答
見学 11:00〜12:30
- 木造集合住宅「吉祥寺の家」 2020年グッドデザイン賞受賞
- 賃貸マンション「コモレビテラス井の頭」2014年グッドデザイン賞受賞
結びとして2014年グッドデザイン賞審査委員だった建築家篠原聡子先生の「必要ないものが一つもないのが最もよいデザインである」という言葉を披露させていただきました。
さてこのテーマを通じて、普通部生の皆さんに伝えたかったことは次の2つです。
① 物事を多面的に見ること
多面的に物事を見る為にはコツがあります。それは固定観念をもたず素直に物事を見ることだと思います。それは簡単なことではないですが、何かに行き詰ったら思い出してください。
② 深く考えて探求心をもつこと
多面的に見ると新たな発見があるはずです。そこで見つけたものを、更に深く考え探求すると、更に楽しくなると思います。これから普通部、高校、大学と学問を進めていく中で、見つける楽しさ、考える楽しさを覚えて欲しいと思います。
コロナ禍の中、普通部から遠く離れた吉祥寺の会議室での講義、徒歩・電車での移動、室内も見られない限られたスペースの中での建物見学で落ち着かなかったと思いますが、皆さん熱心に見てくれました。私も楽しく心に残る経験となりました。
この度、外部での活動でご厄介をおかけ致しましたが、ご担当の大久保先生、当日生徒の皆さんを引率いただいた三船先生、天田先生に多大なご協力をいただき改めて感謝申し上げます。
ありがとうございました。