労作展

2020年度労作展 受賞作品

国語科

「労作する」ということ

3年T.K.君

 僕は、 三年生の労作展で初めて賞をとることができました。
 一、 二年生の時の作品は、 いずれも結果的には 駄作 で終わってしまいました。 一年生では録音機で音声を再生してもらう形でしたが、 僕自身、 録音機を使いこなせず、 不具合などで酷い作品になってしまいました。 二年生では、 モチベーションが続かずに、 当初の予定から内容を相当カットし、 論文類にも関わらず製本をしないという致命的なミスを犯すなど、 質が高いとはとても言い難い作品でした。
 しかし、 今年度は最後までモチベーションを保つことができました。 個人的に、 しっかり 「労作」 できたと思います。
 では、 「労作できた」 とはどういうことなのでしょうか。 すばらしいアイデアで最高の作品を完成させることでしょうか? いいえ、 そうではありません。 時間をたくさんかけて、 「頑張りました」 と言うことでしょうか? いいえ、 そうでもありません。 僕は、 「自分の好きなことを探究する」 ことだと思っています。 いや、 労作展がそれを教えてくれました。
 一、 二年生の頃は本当の意味では 「労作」 できていなかったのだと感じています。 いわゆるテーマ選びに失敗したのです。 僕は今年、 大河ドラマのストーリー作りという壮大なプロジェクトを完遂したのですが、 製作を開始した五月からまるまる四ヶ月間続けられたのは、 本当に歴史が好きだからでした。
 ですから、 労作展の成功のカギはテーマ選びにある、 と言っても過言ではないと思うのです。 もちろん、 作業は大変で、 毎晩毎晩朝が見えてくる時間まで起きていることもありました。 それでも興味を持って継続することができました。 個人的には、 もっと早く、 一年生の時からこのテーマに出会っていればと悔やんでいます。
 さて、 普通部労作展のスローガンは 「みんなの労作展」 です。 自分の作品を見せるだけではなく、 他の人の作品から学ぶことも重要です。 僕は労作展を見て回る時、 主に 「どれくらい労作したんだろう」 という視点で見ています。 作品を見るだけでは分からない、 陰の努力の足跡を求めて日誌を手に取ることもあります。
 しかし、 全校生徒の作品を全て見切る人というのは、 恐らくはいないでしょう。 論文類の作品は特に、 ぱらぱらとめくって立ち去る人がほとんどで、 美術なども日誌を細かく読む人は少ないと思います。 要するに、 お客さんに手に取ってもらうには最低限度の外装も必要なのだと思うのです。 今回の作品では、 僕は初めて製本 (それらしいファイルに綴じただけですが) をしました。 過去二回ともに見かけが明らかに悪かったという反省からです。
 また、 論文類の作品は、 見た目を整える一環としてパソコンで打ち込むことが必要だと思いました。 手書きを否定するわけではありませんが、 やはり活字の方が見やすいと僕は思います。
 僕はもう労作展に出品することはできません。 しかし、 人生を一つの大きな 「作品」 とするのならば、 今はまさに 「テーマ選び」 の時期だと言えます。 ですから、 一日一日を有意義に過ごしていきたいと思っています。
 最後は少し話のスケールが大きくなりましたが、 全ては普通部の労作展を通して気付いたことです。 一、 二年生のみなさんも、 悔いの無い作品を、 夏休みを過ごしてください。
 ありがとうございました。