数学科
一生忘れない経験
3年Y.K.君
ついに、 最後の労作展がやってきた。 「今年こそは賞をとりたい」 その一心で、 今までで最も気合を入れて取り組んだ。
一昨年は福島の復興、 去年はランニングについて、 それぞれ論文にまとめた。 そして去年の十一月。 「来年は何しようかなー」 そんなことをふと考えながら、 本屋さんに行った。 そんなとき目に入ったのが。 「Phoneアプリ開発」 という本だった。 「こんな本まであるのか…面白そうだなー」 そう思い、 その本を購入して、 アプリを開発してみた。 すると、 アプリができたのだ。 今までは自分でアプリなんて作れるわけないと思っていたが、 この時初めてアプリは自分で作れることを知った。
そこで、 この 「アプリ開発」 を労作展の題材にすることにした。 また、 僕は陸上が好きであるため、 「ランニングアプリ」 を制作することにした。
といったものの、 ランニングアプリはどうやって作ればいいんだろう…途方に暮れていた時、 学校である講座のチラシを見つけた。 それは、 アプリ開発を大学生がサポートしてくれるという講座だった。 そこでこの講座を受講して、 アプリに関する知識を得た。
そしていよいよ、 ランニングアプリ開発が始まった。 毎日のようにパソコンと睨めっこしながら、 ひたすらコードを打ち続けた。
そんな僕の行く手を阻んだのは、 エラーだ。 正しくコードを打っているはずなのに、 エラーが出て、 アプリが動かなくなってしまった。 なんでだ…。 焦りを落ち着かせて、 コードを一文字ずつよーくみていった。 すると、 なんとその原因のほとんどは、 大文字と小文字の間違いなど、 とても些細なことだった。 アプリ開発の繊細さを痛感させられた。 それでもそれを発見し、 書き直して正しく動いた瞬間は、 とても達成感があった。
その後も、 夏休みのほぼ全日、 一日のうちの何時間もアプリと論文の制作に費やした。 去年までは暇な時にやり、 最後に追い上げしていた。 しかし、 それでは賞を取れないことが三年目にしてようやくわかった。 そのため、 今年は今まで以上に時間に余裕を持って、 真剣に取り組んだ。
そして九月。 ようやくアプリが完成した。 自分でここまでのアプリを作れたことに、 我ながら感動した。
無事提出を終え、 ついに労作展がやってきた。 アプリの試用体験をしてもらうため、 僕はPhoneを持って、 開場前に学校へ行った。 そして自分の作品票を見ると、 そこには 「賞」 と書かれた札が付いていて、 その裏には、 特別展示作品を示す赤いペンマークが貼ってあった。 「やったあー」 僕は心の中で大きく叫んだ。 三年間で初めて賞を取れた喜びは、 計り知れないほど大きかった。
自分の作品を、 他の人に評価してもらえてとても嬉しかった。 今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で一般の方々に見てもらえなかったのは非常に残念だったが、 何より自分が納得のいく作品を作り上げることができて、 とても大きな達成感があった。
僕は今まで、 ここまで一つのことに集中することはなかった。 しかし、 労作展がその機会を与えてくれた。 そのために、 僕は初めてその大切さを知った。 また、 好きなことを見つけることができた。
この労作展での経験は、 一生忘れないだろう。 そして、 将来必ずどこかで役に立つだろう。