労作展

2017年度 受賞作品

音楽科

労作展との出会い

3年H.T.君

 僕が労作展という行事を小学生の頃に知った時、本当に驚愕した。自分と年が数年しか変わらないのにも関わらず、今までの人生で考えもつかなかったようなアイデアが詰まった論文、努力が目に見える絵、見るだけで圧倒される書道の作品。こんな作品の数々を目の当たりにして来年の僕は果たして作らなければならないのかと心底不安になった。なかでも一番心を惹かれたのは音楽科の作品だ。他の教科と比べて人数が少ないが、それを打ち消すかのような存在感を放っていた。曲の研究、素晴らしい演奏、気持ちが伝わる制作日誌。僕は小学校の頃からヴァイオリンをやっていた。日常の生活の一環として練習していただけで、一切の目標を持たず、努力もせず、まるで暇つぶしの様に課題に取り組んでいた。しかし僕は挑戦してみようと思い、一年目から三年間、労作展に音楽を選択することに決めた。

 普通部に入学した後、一学期があっという間に過ぎ、何も準備をしないまま夏休みを迎えることになった。短期間であったが、気合をこめて作品を仕上げたつもりだった。しかし、一年目の作品ははっきりいって失敗だった。自分の好きな曲モンティの「チャールダーシュ」に挑んだが、問題は山積みのままだった。録音機材のトラブルや、録音場所などに頭を悩ませた。そのことを反省し、翌年に生かそうと二年目の作品、マスネの「タイスの瞑想曲」に挑んだ。二年生からは夏前から作品に取り掛かれるため、時間がたっぷりとある。だが実際のところは僕の生来の面倒くさがりの性格がでてしまい、結局夏休みの前からのスタートとなってしまった。だが一年の時の反省をいかして録音機材に注意を払って、練習も集中してできた。その結果満足のゆく作品となり、自分としては満足できた作品になったと思う。そして三年目を迎え、気づけば最高学年として普通部最大のイベントに参加することになった。春から曲を選び始め、かなり迷った末に「プニャーニの様式による前奏曲とアレグロ」を演奏することに決めた。この曲は前から繰り返し聞いていた曲で大好きだった。この曲について調べていくと、プニャーニが作曲していた曲をクライスラーが編曲したという事で曲が発表されたが、実はクライスラーが全て作曲していた等という事実が分かり、さらに調べていくととても楽しく、三年間の集大成として曲に向かい努力し、仕上げることができた。

 普通部の他の音楽科の作品を見ていると自分よりはるかにすごい作品があり三年間驚かされ続けてきた。今になって普通部の三年間を振り返ると、まず思い出すのは労作展だ。労作展に取り掛かっている間は夢中で、毎日の練習は大変だったし、集中力をもって挑んでいて、苦労の連続だったが、今振り返ってみるととても有意義な時間を過ごせたと思う。労作展に出会う前は、ヴァイオリンの演奏で努力をしたことがなかったが、長い長い夏休みを一つの作品だけに集中し、努力し、考えることができた。常に友達から刺激を受け、毎年自分の成長を感じることができる行事は素晴らしいと思う。取り組んでいる時は夢中で何も考えてはいなかったが、作品が無事完成した後の達成感は僕の人生の中で一番の快感だった。三年間を自分の好きなヴァイオリン演奏に真剣に取り組むことで、今後続くであろう僕のヴァイオリンとの関わり合い、また己の考えにも影響するような良い機会だったと僕は考える。