労作展

2017年度 受賞作品

美術科

三回目の労作展を終えて

3年Y.K.君

「今年は日本橋をテーマに何を作ろうか」との想いから僕の普通部生活ラストの労作展は始まった。

 まず、日本橋をテーマにすることは当然のことのように決めていた。なぜなら、普通部に入学してから一年、二年を労作展には日本橋をテーマにした作品を出品してきたからだ。僕は、日本橋の良さが見ている人に伝わるような作品を目指して毎年作品を作ってきた。これまで、日本橋にこだわってきたのは、自分の住んでいる日本橋が好きだからだ。

 何も案が浮かばなかったので二年生の時に作った作品の制作日誌を読んで何かヒントをなるものがないか探していた時、僕は、あるページが目に止まった。そのページには、去年作品を作る過程で見た「稀代照覧」という作品の写真が貼られていた。「稀代照覧」とは、一九九九年にドイツで発見された縦約四十三センチメートル、横約百二十三メートルの大きさで江戸時代の日本橋の人々の様子が詳しく描かれている巻き物だ。とても大きなサイズの絵だが表情や建物の一つ一つが細かいところまで丁寧に描かれていて圧倒された。労作展の題材に悩んでいたところだったので迷わずこの絵をもとにして作品を作ろうと決めた。さらに、現代の日本橋の良さが伝わるように稀代照覧の範囲を現在の日本橋にあてはめて描こうと考えた。

 制作を開始したのは七月の中旬、期末テストの後である。この頃はやる気があり、頑張って稀代照覧の範囲の写真を取り、和紙への下書きを終えた。しかし、部活の練習や合宿などで何もやらず日々が過ぎ気がつくと八月になっていた。遊びたいという気持ちとたたかいながら清書を終わらせ、巻き物作りを始めた。だが、思っていた以上に過酷であった。巻き物を作るには何度も裏打ちという作業をする必要がある。

 裏打ちとは、裏側にのりで和紙をはるということだ。そのため、シワがつかないようにはりつけるにはかなりの集中を必要とした。また、少しずつしかできないのでなかなか終わらないので、ただ疲れる。皆が遊んでいるときに、なぜ自分は巻き物を作ろうと思ってしまったのだろうと思うことも多々あった。

 裏打ちが終わり、心棒やひもをつけて何とか提出日前日に完成させることができた。一年生のときには「現代版日本橋かるた」二年生のときには、「お江戸eco日本橋」とずっと日本橋をテーマにしてきたが今回の「現代稀代照覧」は今までと段違いに大変だった。しかし、苦労と努力を積み重ねたことで満足のいく出来となった。

 労作展初日の土曜日、僕は教室係だったので学校へむかった。そして自分の作品を見ると「賞」という紙がはられていた。とても嬉しくて気がつくとこぶしを強く握りしめ小さく振り上げていた。

 今回は受賞で念願の三つ目のメダルとなったが、僕にとって労作展は小さな努力の積み重ねの大切さを学ぶことができたとても良い体験となった。

 ケースに入った三つのメダルは僕にとって大切な宝物となるだろう。