労作展

2016年度 受賞作品

理科

滑空比10の飛行機を目指す / 四年間の夢

3年T. R. 君

 僕はこの四年間夏休みに紙飛行機についての研究をやってきた。なぜ三年間ではなく四年間かというと幼稚舎六年の時からやっていたからである。
 一年目はどの翼の平面形状が一番よく飛ぶのかをテーマとし実験を行った。本当は飛行機全体で見たかったが、これをやるには夏休みは短すぎるため、主翼の平面形状に限定して行うことにした。しかし翼単体では実際に飛ばして比較することが出来ないため、風洞を制作し、揚力や抗力を数値的に表し、比較した。
 風洞と言っても大学の研究施設にあるようなものではなく、木の板と換気扇を用いた紙飛行機一機分の小さいものだったが、しっかりと揚力、抗力共に測れるものだった。
 中一の時は初めての労作展だったが、昨年制作した風洞を引きついでなにかできないかと考えた。その結果翼の断面形状について計測することにした。また昨年制作した風洞には欠点が多くあったためそこも改良することにした。しかしこの改良に予想以上に時間を取られてしまい肝心の実験をする時間がなくなってしまった。そのため十分なデータが取れず残念な結果に終わってしまった。
 三年目となる中二の時に、ついに紙飛行機を作り飛ばす実験にした。それはNHKの番組中での企画を参考にしたもので滑空比10を目指した。滑空比10とは1mの高さから水平に打ち出して10m飛ぶというものである。これまでの2年間のデータを使用できるため簡単にクリアできると思っていたが、そんなことはなかった。まず自分の工作能力が決定的に足りないのだ。垂直尾翼が垂直でなかったり、主翼が斜めについていたりと、致命的な失敗を繰り返し、まともに飛ぶ機体を作るのに時間がかかってしまった。それに加え前年までの実験で得たデータで良い数値だったものを組み合わしても、うまく飛ばなかったのである。それでも文献などをあさり、どうにか滑空比10を到達することが出来るであろう機体を制作し、普通部の廊下で実験することに。しかしここで大きな問題が発生した。それは自宅と比べて明らかに普通部の方が湿度が高く、紙が湿気をふくんでしまい飛ばなくなってしまったのである。それが8月の後半。修正することもできず、実験に失敗したまま、レポートを提出することに。
 そして今年は四年間の集大成として、昨年達成することのできなかった滑空比10を再び目指した。これまで終盤に時間が無くなり悔しい結果になっていたため、今年は調査などを12月から始めることにした。調査には主に2ヶ所を訪れた。
 一ヶ所は昭和記念公園にてパチンコグライダーを飛ばしているおじさん方に前年の失敗の原因となった湿気対策方法や強度補強の方法などを教えて頂き、そこで翼にラッカーを塗るという湿気の対策方法が生まれた。もう一ヶ所は、参考にした番組にて滑空比10を達成していた金沢工業大学の岡本研究室である。岡本教授にはより専門的な知識を教えて頂き、その中にはこれまで使っていた文献には載っていないものも多々あった。また細かい紙飛行機の制作技術などを教えて頂いた。これらの調査で得た情報は、これまでの僕の紙飛行機により幅を持たせてくれた。そのため湿気対策に限らず、前年よりも確実に良い機体を制作することができた。今年は、自信をもって普通部の体育館で、実験することに。しかし滑空比8ぐらいのところでガクッと落ちてしまった。速度を上げたりしても直らず、後に調べてみると地面効果というものが効いており、地面から30㎝ぐらいの位置から落ちてしまっていた。そのためもとの発射位置を30㎝上げることによって、地面効果を考慮して滑空比10を達成することができた。今年は実験が8月中旬に終わったためレポートも時間をかけることができ、賞をもらうことができた。4年間の集大成として挑んだ年に目標を達成でき、それに加え、賞までもらうことができたときは、やはりうれしく感じた。
 また今回の賞は色々な方々のご協力があったから取れたもので、本当に感謝してもしきれません。