労作展

理科

五重塔が地震で倒れない理由と現代建築への応用を探る / 労作展の価値

3年H.O.君

 「住宅展示場に行くけど一緒に行く?」。母親が入学前の春休みに僕に放ったこの一言が僕の三年間の労作展の始まりだった。その後、何回か住宅展示場に通うなかで、僕は自然と家に興味を持っていた。普通部に入学し、労作展の計画表を手にした時には、家について研究しようと決めていた。労作展で理科をやる人は、このようにちょっとした疑問や興味を解決したり、さらに極めようと思った事を研究している人がほとんどだと思う。僕も一年の時に、家について研究しようと思い、特に住宅展示場に、地震対策の展示が数多くあり、それに興味を持っていたため、地震に強い建物の特徴や仕組みについて調べた。二年、三年の時もそれぞれ労作展で調べている時に同じ建物の話で興味を持った液状化や五重塔について調べた。つまり、僕は一年の時に一つの事について調べ、調べている中で他に興味がある事が見つかり、次の年でそれについて研究し…というのを繰り返しているうちに三年間の労作展が終わってしまったのである。
 僕は、実際に建物の模型を揺らす装置を作り、さまざまなパターンで揺らして、データを取って結果を出し、考察をした。模型を作るためのアイディアを考え、何度もホームセンターに通った。実験をする時も、揺らし、揺れた模型を直し、揺らし…という気の遠くなる作業を繰り返した。毎年毎年この作業によってくじけそうになった記憶はまだ鮮明に残っている。しかし、最終的にこの結果によってしっかりとした結論を出す事が出来たと思う。
 労作展は、僕に単なる知識だけでなく、根気強さ、発想力、計画性等も与えてくれた。与えてくれたと言っても、何もしなければ与えてはくれない。なんでもいいから興味を持った事について自分が満足するまで研究しようとする過程で自然とさまざまなスキルを手に入れる事が出来ると思う。さらに、頑張った証には先生方から賞をもらう事が出来る。一年の時に行われた労作展説明会の中で、先輩が「労作展のような自分の好きな事についてたくさんの時間をかけるという事は大人になってやろうと思ってもそう簡単に出来る事ではない。」とおっしゃっていた。僕も、三年間一生懸命労作展に取り組んだ事によって学べた事はとても多かったと思う。先生方がせっかく与えてくれた大きくも小さくもなる課題を、小さく済ましてしまうのはとてももったい無い事だと思う。そのせっかくの機会を無駄にする事が無いように、ぜひ自分が満足し納得するまでとことん好きな事を極めていって欲しいと思う。