2023年度 目路はるか教室

2023年度 目路はるか教室
3年全体講話

「社会を支える法律の世界」

1980(昭和55)年卒業法務省 法務事務次官

川原 隆司 氏(カワハラ リュウジ)

 我々の生活はとても多くのことが法律で決められていますが,法律や裁判というと身近なものとは思えない人が多いと思います。
 そこで,法律実務家である検事としての私の経験を通じて,法律や法律実務家の世界が実際にはどのようなものかを紹介しました。
 検事は,検察庁で刑事事件の捜査・裁判を担当しますが,法務省等で行政官として仕事をすることもあります。
 私は,検察庁では,若手検事として色々な事件を担当しながら経験を積み,東京地方検察庁の特別捜査部検事や本部事件係検事として重大事件の捜査を担当した後,副部長,部長,検事正等を務めました。若手検事時代に悩んだり苦労した経験として,起訴する際に加害者の事情を考慮した事件や粘り強い捜査で事実関係を明らかにして起訴した事件を皆さんに紹介しました。
 また,法務省等で行政の仕事も経験し,裁判員制度のスタート前には裁判員制度の広報という慣れない仕事をしたり,刑事局長として少年法等の法改正をするなどしましたが,そのような行政官としての仕事についても紹介しました。
 私の経験を通じて,法律実務家の仕事は,法律を知っていればできるというものではなく,人間を相手にするものなので人の気持ちが分かるということが必要であるということを知ってもらえたと思います。また,検事が,厳しく処罰することだけを考えているのではなく,事実関係の解明に力を尽くすとともに,事件の処理に当たっては被害者とともに加害者の事情も考慮しているということなども知ってもらえたと思います。
 私の話で,法律や法律実務家の世界が実際にはどのようなものかを知ってもらい,法律や法律実務家を身近に感じてもらえたならば幸いです。

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