2023年度 目路はるか教室
3Dコース
原子力というモノづくり
東芝電力放射線テクノサービス株式会社 取締役社長
小茂鳥 岳 氏 (コモトリ ガク)
その昔、自分は何になりたかったか?と思い返した時、“学校の先生”と答えた記憶があります。半日ではありますが普通部生に対して先生のまね事をさせていただく機会をいただき、普通部に感謝するとともに改めて先生の大変さを感じました。果たして私のクラスの生徒は期待していたことを知ることができたのか?心に残ることはあったのか?
今回は東芝原子力の設計拠点である磯子エンジニアリングセンターに来所いただき、原子力発電の基礎と6D-CADを通してプラント全体のイメージを勉強してもらいました。その後研究所で原子炉の実物大プールを前に、福島の廃炉やプラント保全のために開発したロボット等を見学し、最後にモデル室で原子炉主要機器の説明をさせていただきました。
見学の時間が長くなり、皆さんに原子力の技術やモノづくりに対して考えてもらう時間が不足したことは反省ですが、普段あまり触れることのない技術を知ってもらうという意味では多少の価値はあったのではないかと感じています。
感想文では、レーザー測定やCADに対しての的確な意見であったり、数学の知識がモノづくりに役立つことの再確認であったり、将来の発電に対する考察までありました。想像以上に皆さんが理解し、興味を持っていいただいたことが分かり、流石普通部生!と改めて感心させられました。
授業を通し皆さんに伝えたかったことは、原子力に限らずモノを作り上げるということは苦労もありますが完成した時は格別であるということ。もちろん新しいモノを作る時には失敗もありますが、あきらめないことが大切。そういった想いです。
そして、最後に皆さんにお話した『人と、地球の、明日のために。』は、皆さんがこれからどんな仕事に就こうと大切な理念だと考えています。この言葉を改めて皆さんにお伝えし、私の授業を終わらせていただきます。
慶応義塾の若き23名の学生と過ごした楽しい半日でした。改めて御礼申し上げます。