2022年度 目路はるか教室

3Hコース

袋工場見学と、23歳からのアトツギの話

大昭和紙工産業株式会社 代表取締役

齊藤 了介 氏 (サイトウ リョウスケ)

 目路はるか教室の講師を拝命しました。何を伝えるべきか悩みましたが工場を見てもらいたいと思い埼玉工場に来て頂き、紙袋を作る工程を見学して頂きました。印刷・製袋・把手工程が機械化されており、男子はやはり機械には強い関心があるなと感じました。
 その後事務所に戻って紙袋作成体験をしてもらいました。ペンマークを印刷した紙を用意しオリジナル紙袋を作ってもらい、工場の工程を追体験してもらいました。
 次に私の経験をお話しました。23歳の時父が他界し急遽家業の経営を引き継ぐ事となり、困難を乗り越えて会社を存続させてきた話を伝えました。工場の閉鎖、火災事故、台風で工場の半壊と本当に色々な事がありました。本当は成功体験を話せたら良いのだと思いますが私から伝える事ができるのは沢山の失敗談や困難の克服といった話ばかりだと苦笑いしてしまいました。
 また普通部生から弊社が手掛けてきた中国事業への関心が高かった事にも驚きました。私は昔から中国の三国志、水滸伝、ドラゴンボールなどが大好きで高校生から中国語の授業を受けていました。偶然にもまだ元気だった父がこれからは中国の時代だと、中国に工場を設立していて、父が他界した後私が中国に並々ならぬ関心を持っていた事もあり事業を拡大すべく奮闘しました。中国語の勉強や、中国人との交流といった話も興味を持ってくれたようです。
 最後に沢山質問も頂戴しました。中には利益を重視する経営と、雇用や社員を大切にする経営の比較といった高度な質問もあり驚きましたが私の経営方針は従業員を大切にする事だとお伝えしました。
 工場から最寄り駅まで20分程を歩いて頂きました。晴天にも恵まれ、キラキラと輝く紅葉の一本道に若く真っ直ぐな普通部生23人の後ろ姿がまぶしく映りました。
 弊社社員にとっても準備から当日の質疑に至るまで新しい発見が沢山あり実り多き時間となりました。普段「専門用語」でやりとりしてしまう事も多い中、中学生にも分る言葉で自分達の日々の業務を説明する事の大切さを再認識させてもらえました。
 私と社員にとりましても掛け替えのない貴重な時間となり、心から普通部生と先生方に御礼申し上げる次第です。

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