2022年度 目路はるか教室

3Fコース

医師にもいろいろな仕事があります

慶應義塾大学医学部 臨床検査医学教室 教授

松下 弘道 氏 (マツシタ ヒロミチ)

 この度は目路はるか教室を担当させていただき、誠にありがとうございました。学生さんからい頂いたお手紙を拝読しながら講義内容を考える事は、自分自身について考える良い機会になりました。
 講義は、慶應義塾大学病院長のご許可を頂いて臨床検査室の見学を組み入れて行いました。私の現在の専門である臨床検査医学について簡単に説明をした後に、臨床検査室に移動して、血液や尿などを使って解析を行う検体検査の見学と、機械で患者さんを直接検査する生理機能検査や外来採血については事前に収録したビデオを見ていただきました。その後、末梢血や骨髄の標本観察を実際に体験して頂きました。最後に私の学生生活や医師になってからのことをお話しし、手紙の中にあった質問に答えていきました。
 臨床検査科の扱う検査は日常検査であり、その時の患者さんの状況を把握するために、繰り返し行います。臨床検査医である私の仕事は、臨床検査技師と一緒に日常検査を行い、各診療医の業務をサポートすることを通じて患者さんにより良い診療を提供することです。言わば“水道局”“電力会社”のような縁の下の力持ちです。私は血液内科医として自身の経歴をスタートさせました。その後の留学を含めた研究者生活を経て、臨床検査に出会いその道を歩んできました。少し回り道をしましたが、実際の臨床経験や研究を通じて得た科学的思考は、現在の仕事に全て生きています。そして何よりも普通部時代の労作展、理科実験とレポート、記述式の多い試験など、その時は大変でしたが、研究的な素地の基盤を作ってくれたものと改めて実感しております。
 末筆になりますが、お声をかけてくださった同期の世話人の阪埜浩司君、サポートを頂いた普通部の先生方、講義の準備・お手伝いを頂いた慶應義塾大学病院臨床検査科の皆様方に心より御礼申し上げます。今回お会いできなかった方を含め、普通部生の皆さんの今後のご活躍を祈念しております。

前講師を見る


2022年度トップに戻る


次の講師を見る