2022年度 目路はるか教室

3Eコース

難病患者さんとの診療から学んだこと 〜今回講義を聞いてくれた後輩たちへ〜

関西医科大学 消化器肝臓内科 教授

長沼 誠 氏 (ナガヌマ マコト)

 今回母校の普通部において医師としての仕事の取り組みや自分自身の人生感を後輩に話をする機会を与えてくださいました目路はるか教室実行委員の方々、サポートしてくださいました教員の先生方にこの場を借りて感謝します。
 そして講義を聞いてくれた3Eのグループのみんなどうもありがとう!!ちょっと話が長かったね。ごめんなさい。これまでの他の医療関係の講師の先生方に比べて準備不足であったことは否めないですが、直前に用意した食道癌診断のプロジェクトは意外とみんなが食いついてくれてよかったです。早期に発見することの難しさ、正確に診断することで患者さんを救うことができること、診断効率を向上するための診断方法の工夫や開発、そして私自身が診断できた経験が現在の道に進むきっかけになったことも伝えました。医学部の授業にも取り上げる題材ですが、驚くべきことに多くの生徒が早期癌を診断できたこと、またわかりにくい2つ目の癌を診断できた生徒がいたことは、後輩たちの学力以外の潜在能力のようなものを感じて、大変嬉しく思いました。感想文の中で私の留学生活の話が聞きたかったとのコメントがありました。私が今関西にいることとも関連がありますが、違う世界の文化を楽しんでみたい、その世界でどんな仕事ができるかチャレンジしてみたい気持ちで米国バージニア大学に留学しました。四季がはっきりしているいい場所で、アメリカ、カナダ、アイルランド、中国、バングラデシュなど多くの仲間と交流を持つことができ、いろいろな考え方や文化の違いを感じ、多様性を尊重することの大切さを学びました。
 後半は難病患者さんとの診療の取り組みの話をしました。感想文ではプラセボ効果についてコメントをくれた生徒が多かったですが、プラセボ効果(生徒に正確な発音を指摘されて恥ずかしかった)は研究面では最小限におさえることが重要だが、患者さんを診療する上では診療や手術の技量以外にも、患者さんを安心させるといったプラセボ効果を与えることも大切であること、実際に症状がよくなった実例についても話をしました。ドラマの話はきっとみんなのご両親くらいの年代に話した方が共感が得られたかもしれませんでしたが、難病患者さんの診療から学んだことは、患者さんの症状を良くするだけでなく、人生をハッピーにすることを考えて診療をすること大切であり、そのことみんなに伝えたつもりです。
 最後にワークショップで自分の夢、そして実現するためにやることについてみんなに語ってもらいました。後輩たちが私の15歳の時より明確なビジョンを持っていることは大変嬉しく感じました。このコースを選択してくれた生徒の中には将来医師になりたい人もいると思います。どうか学力だけでなく人間力を磨くようにしてみてください。当然のことですが教室は大阪では開催できませんでしたが、もしこちらの方に来ることがあるようでしたら、ぜひ関西医科大学にも遊びにきてください。

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