2022年度 目路はるか教室

3Dコース

いざ!というときのためのファーストエイド

東京歯科大学 教授    東京歯科大学 市川総合病院 救急科部長

鈴木 昌 氏 (スズキ マサル)

 貴重な機会を賜り有難うございました。私は講義や実習指導に慣れていると自負していましたが、普通部生はとても快活でタフな相手でした。貴重な体験でした。
 さて、このような機会をいただき、普通部の後輩たちに楽しんでもらいつつも何かを持って帰っていただくにはどうしたらよいかを考えました。私は病院での救急診療に従事していますが、すべての普通部生が将来、医療職に就くわけではないでしょう。そして、COVID-19蔓延を通じて、医療そのものが機能不全に陥る昨今、一人一人が自立して行動できることこそが求められていると思っています。救急診療そのものより、患者が病院に到着するまでに発揮される市民の力をお伝えしてはどうかと考えるに至りました。
 そこで、まず導入として、実際に心停止に陥ったり、窒息して救命された映像の視聴をし、救急車が到着するまでの約10分間を強調しました。そこには医療従事者はおらず、非医療従事者がいかに行動するかにかかっていることを説明しました。次に、柔道場に移動し、倒れている人をどのように運び出すのか、煙で前が見えない時にどのように出口を探すのかを実習しました。また、スポーツなどで怪我をした場合の、応急処置としての三角巾の使い方や、テーピングを簡単に体験しました。この後、再び教室に戻り、点滴の代わりになる経口補水液を作り、試飲しました。身近なもので生き抜くために必要な知識や体験をしてもらったと考えています。あっという間の3時間でした。
 短い時間でこれらすべてを完全に修得することはできないでしょう。しかし、自分の力で誰かを助けることができるということ、それこそがサバイバルであるということが伝わったとしたら幸いです。今回の後輩たちは将来、社会に出て様々な立場で様々な社会貢献をするでしょう。それに加えて、目の前の1人を助けられる、そんな地道なことも大切にできる社会人になっていただきたいと思います。

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