2022年度 目路はるか教室

1Hコース

医薬品物流センター見学と、「『回り道』のすすめ」

アルフレッサ株式会社

福神 雄介 氏 (フクジン ユウスケ)

 この度は「目路はるか教室」で講師をさせて頂く機会を頂きまして有難うございました。普通部1年生22名、半年前までは小学生だった諸君に向けて何を話そうかと悩みましたが、率直に私自身のこれまでの振り返りと、そして現職である医薬品流通の現場を見てもらおうと思い、バスで2時間以上をかけて静岡県藤枝市にある最新鋭の物流センターまで来てもらい、講義と物流センター見学を実施しました。
 自身のこれまでを見返してみると、フラフラと曲がりくねった道を選択してきた連続でした。そして、その時点ではクエスチョンマークがいくつか付くような選択が、いつのまにか自分を力強く育ててくれて、その後の自分の人生を豊かにしてくれました。普通部を卒業して塾高へ…行かずに志木校を選択、今でも幼稚舎以来のかけがえのない仲間に加えて、志木校から慶應へと加わった多くの友達に恵まれています。大学院への進学を希望していましたが指導教授が国家の重職に就任した事から断念、すぐに家業に入るのも気が引け、とりあえず米国へ半年留学、国内の医薬品流通産業では必要ないと思っていた英語をこれほど使う事になるとは想像できていませんでした。かくのごとくフラフラと回り道ばかりの生き方をしてきましたが、その全てが後になって自身を支える貴重な財産に変わっていました。普通部生の多くは受験勉強に時間を取られる事なく学生生活を送る事ができますし、恵まれた環境にあると言って良いでしょう。ですから、折角の「ゆとり」を活かし、豊かで幅広い人生を歩んで行って欲しいと願います。『回り道』を恐れることなく、無駄と思わず!
 参加してくれた普通部生にとっては、私の話よりも物流センター見学の方が面白かった事でしょう。通常では関わる事のない「裏方」の仕事ですが、想像していたものの何倍もの規模の施設に、機械化が進んだ物流機器が並び、重量物の運搬にはロボットが活躍しています。皆さんが目にする「お薬」は小さな粒に過ぎませんが、それを医療現場に届けるためにこれだけの施設を要し、災害時でも物流を止めないために完全免震構造が採られ、多くの専門人材が働いています。将来の職業を考える時に、目立ちはしませんが、社会を支えるインフラとなる仕事の魅力にも少し目を向けてもらえれば嬉しいです。

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