2021年度 目路はるか教室

3Jコース

世界で求められている問題解決力、そしてリーダーシップ

1999(平成11)年卒業マッキンゼー・アンド・カンパニー パートナー

呉 文翔 氏(くれ ぶんしょう)

 この度は「目路はるか教室」の講師という大変貴重な機会を頂き、ありがとうございました。私は現在マッキンゼー・アンド・カンパニー(以下マッキンゼー)という経営コンサルティングファームでパートナーとして日々、日本の、そして世界の経営者の方々の経営課題の解決に取り組んでおります。

 今回普通部の学生の皆さん向けの授業では、私が非常に大事に思っている「問題解決力とリーダーシップ」に関してのお話しをさせて頂きました。中学生といえど、日々の生活の中では部活でも、学校生活でも周りにはいろいろな課題や問題があると思います。それらの問題・課題から逃げずに考え抜くこと、そして解決に向けたアクションをとっていくことはこれから普通部生の皆さんがどんな学生生活を送る上でも、社会に出てからもとても大事なことだと思っているからです。

 私は高校時代はアイスホッケー部で主将を、そして大学時代は主務を務めてきました。本当にいろいろな問題や課題がありましたが、それらに真摯に取り組んできたことが今の社会人としての私の基礎になっていると感じております。そして、その基礎をもとに三井物産で世界を相手にエネルギーの業界で仕事をし、その後ハーバード・ビジネススクール(MBA)に留学し、現在ではマッキンゼーという外資系の経営コンサルティングファームで数多くの経営者の方々と経営課題やビジネスにおける問題の解決に取り組んでいます。

 上記の私自身経験をもとに、その“問題解決”や“リーダーシップ”の一部でもいいので、普通部の皆さんにお伝えできたらと思い、今回の授業の準備をしてまいりました。当日は私からの一方通行ではなく、双方向で非常に活発なコミュニケーションをすることができましたし、するどいご質問やご意見も数多く出てきて、私自身、大変有意義な時間を過ごさせて頂きました。

 以下に、私のコースを選択してくださった普通部生の皆さんに私が授業の最後に送った言葉を掲載させて頂きます。改めて、コロナ禍の状況下で「目路はるか教室」を開催してくださった世話人各位、先生方、そして私のコースに参加してくださった普通部生の皆さんに感謝申し上げます。ありがとうございました。

  • 本日ご紹介した通り、今の社会人の自分があるのは、中学〜高校〜大学と学生時代に自分が直面する問題や課題から逃げずに挑戦し続けたこと(成功ばかりではなかったけど)が基礎にあると思っています。
  • 私は学生時代に決して優等生ではなかったけど、それでも自分なりに目の前にある問題や課題(主に私の場合は部活でしたが)に精一杯取り組んできました。その過程で得た経験・学び、そしてできた仲間は間違いなく私の宝物です。
  • 皆さんも勉強、研究、部活、課外活動、なんでもいいから学生時代のうちに自分が一生懸命取り組めるものを見つけてください。一個じゃなくてもいいんです。いっぱいあったっていい。一生懸命取り組んだものの先には必ず解決しなくてはならない問題や課題があります。そしてそこから逃げずに考え抜いて(1人ででも、チームででも)、行動を起こしてください。失敗しても学びがあります。成功したら嬉しいし、自信になります。一番のリスクは、なんとなく過ごしてなにもしないことです。成功の反対は失敗ではなく挑戦しないことです。そうしたら後悔が残ります。
  • 自分の人生なんてこんなもんだ、どうせプロのスポーツ選手になるわけではないし、とか、どうせ大学院や博士課程には進まないんだし、と“自分の人生こんなもん”なんてレッテルを自分自身で貼らないでください。“自分の人生はこんなもん” って思った瞬間に問題を問題とも思わなくなり、挑戦する人生が終わってしまいます。そして、そんな人の人生はしょせん“こんなもん”程度になってしまいます。これほどもったいないことはありません。皆さんは(そして23年前の私も)世界の中でも0.01%くらいの上位に入る幸せな環境にいて、慶應義塾の素晴らしい教育を受けられています。我々は世の中をどんな形であれ、“よりよい世界”にする“義務”があると私は思います。
  • みなさんが今日の授業を受けて、少しでも“なにかに挑戦しよう。一生懸命ってかっこいいんだ、楽しいんだ” って思ってもらえたらとても嬉しいです。そして、将来どんな形であれ、本日お会いしたみなさんとどこかで一緒に“世界を変える”仕事ができたとしたら、そんなに素敵なことはないと思ってます。

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